■『ナゼそこ』の内容に弁護士は「ちょっと酷いんじゃないか」

 2016年6月の『週刊新潮』(新潮社)では、同年3月放送回に登場したウクライナに住む日本人女性とウクライナ人の夫が旧統一教会信者だと指摘。中米コスタリカで高齢初出産をした日本人妻が統一教会の宣教師であることや、西アフリカのブルキナファソで4人の子どもを育てる日本人シングルマザー、中東ヨルダンで難民のためのボランティア活動をする日本人女性もまた信者だと報じていた。

 番組を見た多くの信者たちが、自身のSNSなどで“仲間”の海外での活躍ぶりを称賛するなど、『ナゼそこ』が信者向けの宣伝材料になっていたという。

 かつて申し入れ書を送った渡辺博弁護士は、7月23日配信の『日刊ゲンダイDIGITAL』の取材にその経緯を以下のように説明している。

<元信者から“信者が出演しています”“番組制作者が、統一教会に頼んでネタを提供してもらっている”という情報があった。調査の上、内部事情に詳しい人物に確認したら“合同結婚式で海外に移住したのが事実であり、現地で恋愛したなんてウソ”と報告してくれた。ちょっと酷いんじゃないかと思い、申し入れを行った>

■山上容疑者の母親も近く会見へ

 当時のテレビ東京社長・高橋雄一氏(70)は2016年6月の定例会見で「あえて特定の宗教関係者を取り上げる趣旨はない。特定の宗教を広めることに加担するような番組を作らないことが大前提だ」とコメントしていた。

「日テレやTBSが積極的に旧統一教会問題を取り上げる中、フジとテレ東はそれぞれ事情があってまだ腰が引けている印象です。8月10日15時から、旧統一教会が会見を行なう、と発表しました。また、山上容疑者の母親も近日中に会見を開くという報道もあります。

 日テレとTBSはかなりの時間を割いて、この会見の模様とその内容の検証を行なうのでしょうが、フジとテレ東がどこまで踏み込むのか……関係者や視聴者も注目しているのではないでしょうか」(前出の民放キー局ディレクター)

 岸田首相が断行した内閣改造と呼応するかのような旧統一教会サイドの動き。これからある山上容疑者の母親の会見は、世の中に大きなインパクトを与えるだろう。

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