■歯みがき粉なしでも汚れは十分に落ちる

 食事の次は、「歯」に関する間違いについてだ。近年、健康と歯の関係が、にわかに注目を集めている。

「愛知県知多半島の65歳以上の住民を4年間、追跡した研究では、歯の状態が良い人ほど、認知症の発症や転倒などのリスクが低いことが分かっています。人間の歯は、親知らずの4本を入れると32本ですが、今は80歳になったときに20本以上、自分の歯が残っていることが目標とされています」(前出の医療ジャーナリスト)

 そのために重要なのが、日々の歯みがきだ。最近、食後すぐの歯みがきは逆効果という話を聞くが、この真偽について、『サイトウ歯科』院長の齋藤博氏は、こう解説する。

「食後は、口内が酸性に傾いた状態なので、歯のエナメル質が傷つきやすくなっています。唾液で再びエナメル質が固さを取り戻すまで、30分ほど時間を空けたほうがよいという考えが出ています。ただ、昼食後すぐに仕事を控えている社会人が、食後30分以降の歯みがきを徹底するのは難しい。それを気にするよりも、歯みがき粉の使い過ぎを今すぐ、やめたほうがいいです」

 そもそも、歯みがき粉は使わなくてもいいという。

「キチンと磨いていれば、歯みがき粉なしでも、汚れは十分に落ちます。逆に、歯みがき粉に含まれる研磨剤がエナメル質を削る要因にもなる。特に、タバコのヤニ取り歯みがき粉は研磨剤が多いので、つけ過ぎは厳禁です。また、香料が入っているので、磨いた気になっても汚れが落ちていないことが多いので、注意してください」(前同)

■睡眠にまつわる悩みは増加

 歯を磨いたら、続いては「睡眠」における間違いに迫っていこう。年を重ねるほど、「寝つきが悪い」「すぐに目が覚める」など、睡眠にまつわる悩みは増えていく。

「2015年に、40代~70代の男女8000人を対象に行われた製薬会社の意識調査では、入眠困難など、なんらかの不眠症状を有する中高年は、全体の約6割に上るという調査結果が報告されています」(医療ジャーナリスト)

 夜になっても、どうにも眠れないときは、ソファなどに座って眠気が来るのを待てばいいのだろうか。

「たとえ眠くなくても、布団に入るべきです。ぐっすり寝る習慣をつけたければ、起床時間から逆算して、“この時間には布団に入る”と決めておくことです。体を横にして、目をつぶるだけでも疲れは十分に取れます。どうしても眠れないときは、軽い読書などを挟むのも効果的。ただし、テレビやスマホを見ると、ブルーライトにより、さらに寝つけなくなるので絶対にやめましょう」(前出の清藤氏)

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