■信長・永瀬廉の想いが家康・小澤征悦に伝わり

 信長と家康のタイマン勝負は、最強同士の戦いとなる緊張で、重々しい空気を感じた。互角の戦いが続くが、信長が一瞬の隙をついて家康の喉元に扇子の柄を打ち込む。

 これがきっかけで効果的な攻撃を打ち続け、あと一歩でトドメを刺すというところで、拳を止める信長。そして、握った拳を広げ、手を差し伸べるのがなんとも信長らしい。

 そして「手を取れ、家康。貴様はきっと変われる」と優しくほほ笑むのだ。こんなことをされたら、誰だって心を持っていかれてしまだろう。父親に拒絶され、手を出せば人をあやめる忌まわしい手だとされ生きてきた家康が、やっと心の鎧を脱ぎ、幼少の頃の自分との戦いを終わらせる時がきたのだ。

 信長の想いが家康に伝わって、手を取り合うのがすがすがしい。信長の母親が「その手を前に出して。そうすればあなたの道に花が咲くのよ」と言って、幼い信長が差し出した手を優しく包んでくれた温かい気持ちが、時を経て花を咲かせたのが素晴らしい。

 宿命ともいうべき生き方を変えることはできないかもしれないけれど、誰とどう生きていくかは自分で決めていいし、仲間や好きだと思える人たちと笑いあっていいのだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4