■ホッキ貝を盛りつけた「幻の駅弁」
第2位は、『母恋めし』(北海道)。室蘭市の無人駅を主要販売駅とし、その生産量の少なさから「幻の駅弁」とも称されている。
「地名の“母恋”の語源は、ホッキ貝がたくさんある場所というアイヌ語です。その由来を生かし、大振りのホッキ貝を盛りつけた、おむすび弁当が生まれました。ガブッとかじると、口いっぱいにホッキ貝のジューシーなうま味が広がります」(前同)
ホッキ貝は、寒くなるにつれて漁獲量が増え、味わいも増す。これから旬を迎える食材なので、この秋、ぜひ堪能してほしい。
■堂々第1位に輝いたのは!
そして、大激戦を制し、堂々の第1位に輝いたのは、『百年の旅物語 かれい川』(鹿児島)だ。
複数の識者が太鼓判を押した、2022年最注目の駅弁である。
「鹿児島産サツマイモの天ぷらである“ガネ”など、おばあちゃんのお手製のような薩摩料理が詰まっています。大量生産ができないので、駅弁品評会にもほとんど出品されず、現地でしか食べられません。もとは、JR九州の観光列車『はやとの風』の車内駅弁でしたが、今年3月に運行終了。それに伴い、肥薩線の嘉か例れい川が わ駅で、土・日・祝日限定で販売しています」(斉藤氏)
この嘉例川駅も、人気の理由の一つだ。
「築100年以上という県内最古の木造駅舎が残っているので、それを目当てに訪れる人もいます。中には、わざわざ鹿児島空港からタクシーで訪れ、駅弁を購入する人も。日本の原風景の中で、伝統料理の駅弁を楽しむ。そんな特別な体験が、多くの人を魅了しています」(望月氏)
おいしい駅弁を堪能しながら、旅を楽しむ。これこそ、最高のぜいたくではないだろうか。