■“黄金の3年間”を謳歌するはずが……

 その一方で岸田首相は、森元首相のように退陣を迫られるようなこともなさそうだ。有馬氏によると、「自民党内部に岸田首相の次の総理大臣を務められる人材がいないのと、国政選挙がないこと」が重要なポイントになるという。

「岸田首相は、衆議院解散がない限り、3年間国政選挙を行わずに済む“黄金の3年間”を手に入れたはずでした。ですが、7月8日に安倍晋三元首相が亡くなり、その直後の7月10日の参議院選挙はなんとか自民党が多数派を維持しましたが、統一教会問題が明るみに出て支持率が低下。2023年の春に統一地方選挙が行われる予定ですが、候補はあくまで“自民党系”であり、自民党に所属しているわけではない。“国政選挙ではない”という理屈で、自民党が支援する候補が大敗しても、岸田首相のせいと明確に言えません。

 ですから、岸田首相は何としてでも粘って、絶対に辞めず、ズルズルと低空飛行を続けると思います。今のところ2023年5月に広島県でG7のサミットが開かれる。そこでホストとして、岸田首相の颯爽とした姿を見せられれば支持率も上がるのでは、と考えているのではないでしょうか」

 緩やかに下降線を辿る内閣支持率。森元首相の9%という1ケタ支持率まで落ち込んでも、岸田首相は辞めることはないのだろうか――。

有馬晴海(ありま・はるみ)
政治評論家。リクルート入社後、1985年に国会議員秘書に転身。その後、永田町の人脈を生かして政治評論家として独立。テレビ、ラジオ、ネットメディアで幅広く活躍しており、『サンケイスポーツ』にて『有馬晴海の突撃!永田町』を連載中。

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