俳優・萩原聖人(51)。数多くのドラマ、映画に出演してきた一流俳優の彼が、麻雀のプロ、プロ雀士であることももはや有名だろう。俳優とプロ雀士、一方だけでも難しいプロフェッショナルな仕事を、どちらも全力で臨む「二足の革靴」の精神でこなしている萩原に今回、本サイトは話を聞くことができた。
麻雀のプロリーグ『Mリーグ』、『TEAM RAIDEN/雷電』の一員として5年目を迎えた萩原。苦難のときを経て、50代に突入した「俳優兼Mリーガー」の今の思いとは。そして、2023年の麻雀界、Mリーグの行く先を、萩原はどう見ているのか――。ひとつだけ言えるのは、今の萩原聖人は「カッコイイんです」!(#1~4のうち1)
■「麻雀における事象に対しては相当強靭になりましたね」
――12月19日に『Mリーグ』で今季初トップを取られましたね。おめでとうございます。
「ありがとうございます(笑)。もうびっくりですよね。麻雀やってて28回も取れないなんてことあるんですね。どんな素人でもルールが分かっていれば1回くらい勝てそうなものですけど。これは、僕の中では、Mリーグでやっていく上での1つの“業”みたいなものかなと思っています」
――「業」、“仕事”という意味でしょうか。
「そうですね。強い人が勝つのは当然だし、弱い人が負けるのはあると思いますが、麻雀は運要素もすごく大きいですし、バカヅキみたいなときがあってもおかしくない。
(だから)ツキだけでもいいから勝たせてくれと思ったりもしましたが、こういうツラい展開だったり現実みたいなものが……ほかの選手でも背負っている方は何人かいますが、彼らも勝つための一打を常に積み重ねているし、僕もそうです。
でも、結果論も込みで“あそこでリーチかければ上がってたのに”とか“何でリーチかけないんだ”とか、結果論を語る人が増えているのは、もしかしたらファン層が広がっている気もしますけど……でも、当事者たちはそれを語られるとやはり非常にツラいですよね。めちゃくちゃ考えてやっていますし、何でリーチを打たなかったのかも理由がありますし。
ただ、それが去年、けっこういろいろ思うところがあって。それも含めて麻雀はどういうゲームなのかを知ってもらうのが、実は一番大事というか……。昔のイメージを変える……昔の“麻雀ってこういうゲームなんでしょ”っていう先入観だったり、ギャンブルってイメージから変えていくにあたってそういうのも含めて見せていけてるかなと思っています。まあ、自分の中ではそういうふうに落とさないとやっていけないなという部分があるのも本音です(笑)」
――なるほど。キツい仕事です。
「ただ、その“やってらんねーな”のところに、1つ違う意味を見いだせてきたのがあって。12月19日にトップを取って、僕自身は“めちゃくちゃ嬉しい!”ってよりも、“ホッとした”というのももちろんありますが、それ以上に、“こんなにたくさんの人が俺のトップ待っててくれてたのか”とか、自分が勝った喜びよりも、“喜んでくれる人がこんなにいたんだ!”と感じました。
トップはいつか取ると思われているわけですよ。普通に打っていれば取ることもあるし、ラスになることもあります。それは別に決して麻雀をナメてるわけではなく、そういうゲームなので……わざと負けようとしなければ、勝ちを目指していればいつか勝てるゲームです。絶対にあの人には勝てないとか、そういうのではないじゃないですか。
1対1で勝負して、実力差があるから勝てないとか、そういう性質のゲームじゃない。4人いて、誰かがやったことがこの人のためになるっているか、“あなたがこういうことしたからこの人にやられちゃったじゃない”とかがあるのも麻雀の醍醐味の1つなので。まあそれにしても(勝てるまで)長かったですけどね……。
抜けたっていうわけじゃないですけど、ここ何試合かは自分の中ではすごくよく打てていて。結果だけが本当についてこないと思っていて……“反省をちゃんとしろよ”、みたいな声もありますが、後から見返しても“これしか打つ牌なかったな”という感じで。
だから、どういうときに反省をすべきなのかも、自分の中で考えてやっています。本来打つべき牌が反省したことで打てなくなってしまうのなら、別にいいやって思って。反省なんて4年もやって散々してきましたから(笑)。
でも、それは反省をしなくなるのではなく、反省しなきゃいけない局面が自分で“これだ”とあれば当然反省はしますけど、やっぱり正着を積み重ねたところで、勝ちにつながらないこともある。それは相手が上だったのか自分に目がなかったのかわからないですけど……。
だから、相当強靭になりましたね。麻雀における事象に対しては」