■“生きた教科書”変化球マスター

 そんな顔ぶれの中でも、やはり一番の“目玉”は、胴上げ投手になった第2回大会以来の代表選出となるダルビッシュだろう。

 大リーグ勢が何かと制約に縛られる中、ベテランの彼が強化合宿の初日から合流を許可されたことは、ジャパンにとっては朗報といえる。

「初日にキャッチボール相手を務めた、日本ハム時代の女房役でもあるブルペン捕手・鶴岡慎也も、“すべてが素晴らしい”と、その多彩な変化球を絶賛。翌日以降のブルペンでは、詰めかけた報道陣に交じって、佐々木や大勢、高橋宏らの若手もネット裏に集結。“次元が違う”と驚嘆していました」(現地在住のフリー記者)

 ダルといえば、主体とするカットボールだけでも3種類。「曲がり幅、緩急差も含めれば20種類もの球種を投げ分ける」(前同)とされる“変化球マスター”。しかも、そのすべてが大リーグという世界最高峰の舞台で通用する一級品なのだから、若手らには、まさに“生きた教科書”だ。

「若い彼らに惜しげもなくコツを伝授する様は、さながら“ダルビッシュ塾”。そのダルにブルペン投球を絶賛された高卒3年目の高橋宏も、“左打者のインハイとアウトハイで投げるスライダーの軌道が違う”と感心しきり。スライダーの実戦投入を見据える佐々木が、熱心に教えを請う姿も印象的でした」(前同)

■“守護神・大谷”構想は?

 一方、海の向こうで調整を続けた大谷は、オープン戦での実戦登板を経て、開幕直前に合流。アメリカ代表の主将も務める盟友トラウトも脱帽の特大弾を放つ打者・大谷の好調ぶりも伝わるが、「不透明だった彼の投手としての起用法は、エンゼルスのネビン監督が“先発限定”と明言。栗山監督が明かした“守護神・大谷”構想は、これで白紙となりましたが、ある意味、戦略面はクリアになったとも言えます。1次ラウンドと準決勝か決勝のいずれか……2度は確実に先発を託せるわけですしね」(前出のデスク)

 投手・大谷の持つ最大の武器は、大リーグ屈指の奪三振率を誇るストレート、スライダー、スプリットのコンビネーション。

 同じリリースポイントから、まったく異なる軌道を描く様は、現地の評論家や目の肥えたファンも「信じられない」と舌を巻く。

 むろんジャパンの投手陣には、スライダーはもちろん、スプリットやフォークなど“落ちる球”を決め球に持つ選手も数多い。“お化け”と称されるフォークを持つ山本や佐々木、“育成の星”宇田川優希らが、リアル二刀流とどんな“化学反応”を見せるかにも注目したいところ。

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