■史上初!二刀流でリーグMVPとベストナイン投打同時受賞

 今や大リーグを席巻する大谷翔平(29)が二刀流で、リーグMVPと史上初となるベストナインの投打同時受賞を成し遂げた16年。初戦で敗戦投手となった大谷が、本拠地・札幌に移った第3戦で、指名打者としてスタメン出場した。

 シリーズ初のタイムリーとなるサヨナラ打で、自らが招いた敵地連敗の悪い流れを断ち切ることに成功する。

「王手をかけた第6戦では、4対4で迎えた8回表、2死満塁の場面からフェイクで、ネクストバッターズサークルにも立ち、大量6点の呼び水ともなっている。本塁打こそ出ませんでしたが、存在感は当時からMVP級でしたね」(前同)

■「巨人はロッテより弱い」発言

 最後に、日本シリーズ史上最大の“事件”とも言える、87年の巨人対近鉄の第3戦。

 かの「巨人はロッテより弱い」発言の真相を、元近鉄の加藤哲郎氏自身に語ってもらおう。

「僕は、懇意の記者に“どっちが怖いか”と聞かれたから、率直に“ロッテ”と答えただけ。それが活字になった段階で“ロッテより弱い”に化けたんです。そもそも当時のパ・リーグは西武が圧倒的に強かったし、3位のオリックスまでのゲーム差も0.5。前年にはロッテ相手の『10.1』でも苦しんだ。ロッテ打線にはなぜか、よく打たれる、というのが当時の実感でもありました」

 むろん、今となっては当の加藤氏も「他に言い方はもっとあったと思う」とのこと。自身の発言が巨人ナインに火をつけたのも敗因の一つ、との自覚もある。

「彼らが3連敗で抱えていたふがいなさや情けなさを“ぶつける場所”を、僕が作ってしまいました。でも、明確に流れが変わったのは、第5戦で吉井(理人)が食らった原(辰徳)さんの満塁弾。1点差負けと1対6では、受けるダメージもまったく違う。一番打たせてはいけない相手に打たれたあそこが潮目だったと思います」

 さて、今年はどんな名勝負が生まれるのか。

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