■祖母の影響で将棋に目覚め

 さて、大谷が父親から大きな影響を受けたように、藤井聡太にもまた、成長に大きく関わった人物がいる。それは、祖母である清水育子さんだ。

「実は、藤井が将棋に目覚めたきっかけは、隣に住んでいた祖母の育子さん5歳のときに、『スタディ将棋』という入門セットをプレゼントして、基礎を覚えたそうです。そして、おばあさんと対局して勝ったのがうれしくて、将棋にのめり込んでいったのだとか」(全国紙文化部記者)

 後年、藤井は、取材で強さの秘訣を聞かれた際、「将棋が楽しくて、たくさんやったら強くなった」と、育子さんとの対局の思い出を語っている。“勝つ喜び”を、最初に教えてくれた恩人と言ってもいいだろう。

■脳が活性化するパズルに夢中

 育子さんの影響は、他にもある。代表的なのが、藤井が幼少期に遊んだおもちゃ『キュボロ』だ。

「『キュボロ』はスイス生まれの知育パズルで、溝や穴があるブロックを立体的に組み合わせてコースを作り、そのコースにビー玉を転がして遊ぶというもの。これで遊ぶことで、空間認知能力が高まり、また、脳の一部を活性化させるともいわれています」(前同)

 育子さんが親しくしていた玩具店に置いてあった縁で、3歳の藤井は、このおもちゃで遊ぶようになった。

「両手を使う作業は、脳の領域の50%を刺激するといわれています。『キュボロ』のような複雑なパズルで遊ぶことで、幼少期の藤井さんの脳が鍛えられたのでしょう」(児玉氏)

 そして、藤井が幼少期に将棋を学んだ『ふみもと子供将棋教室』(愛知県)も、育子さんが見つけたのだとか。そんな祖母の影響下で将棋の楽しさに目覚め、のめり込んでいくわけだが、それを後押ししたのは藤井家の教育方針だった。

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