野手の活躍は中村紀洋と筒香嘉智
日本人投手の華々しい活躍が光る一方、野手での在籍は今季の大谷を除けば、過去2人しかいない。
05年の中村紀洋と、目下、日本球界への電撃復帰が取り沙汰されている、21年の筒香嘉智(32)だ。
「中村のメジャー挑戦は紆余曲折でした。02年オフ、一度はまとまったメッツとの契約を自ら破棄。2年後に所属する近鉄がオリックスとの合併騒動に揺れる最中、再挑戦を決意すると、近鉄と提携していたドジャースに拾われる格好で、マイナー契約のまま渡米しました。
メジャー昇格こそ開幕早々に果たしたが、本塁打は1本も打てずじまい。結局、1年で帰国しています」(スポーツジャーナリスト)
山本由伸の入団
それにしても、海を渡る多くの侍選手たちは、なぜドジャースを目指すのか。
件の中村と同じタイミングで、同じ西海岸のアスレチックス入りを果たした藪恵壹氏は、こう言う。
「資金力もさることながら、一番は西海岸のほうが物理的にも心理的にも距離が近いこと。アイクさんの時代からの長年の蓄積もあって、ドジャースにはとりわけ安心感があるのは確かだね。
私の場合は“せっかく行くなら日本人対決がしたい”という思いもあって、希望は当初から“ドジャース以外”。08年にライバル球団のジャイアンツに決まったときは、素直に嬉しかったしね」(前同)
だが、藪氏は山本入団の経緯を例に、新たな危惧が生まれているという。
「本人は最初からドジャースが第一希望だった。だけど、彼はメッツのスティーブ・コーエンオーナーの自宅にまで招かれ、次の日にはヤンキースのオーナー、ハル・スタインブレナーとも会っていました」(同)
メジャー名門球団にとっても、日本のエース・山本は、喉から手が出るほど欲しい投手だったと言える。
「もちろん、それ自体は悪いことではないが、結果だけを見れば“金額をつり上げるために会った”と思われても、しょうがない。
山本はすごい投手なのは間違いないけど、3億ドル超えがはたして正当な評価なのか。このまま日本人選手の“インフレ”状態に拍車がかかり続けるのは、あまり健全とは言えないかな、と」(同)