「南海トラフ地震」戦慄のXデー【画像】「マグニチュード9級巨大地震」危険マップの画像
写真はイメージです

 最大震度7の揺れに、太平洋沿岸部に10メートル、一部地域では30メートルを超える巨大な津波が押し寄せる。

 我々の背後に迫りつつある、巨大地震の不気味な足音。今、日本列島に何が起きているのか、徹底取材!

豊後水道で初となる「震度6弱」の衝撃!愛媛・高知地震が示す予兆

「ついに南海トラフ地震が来た! そう思ったよ」

 こう言うのは愛媛県宇和島市内に住む60代の男性。同地を襲った震度5強の激しい揺れに、寝入りばなの布団から跳び起きたという。

 さる4月17 日の23時14分頃、豊後水道を震源とする最大震度6弱の地震が発生し、愛媛・高知両県各地で強い揺れが観測された。

「詳しい統計が残る1919年以降、両県で震度6弱以上が観測されたのは初めてのこと。1月の能登半島沖地震の記憶も鮮明な中、多くの県民が南海トラフ地震を想起し、恐怖を覚えました」(地元紙記者)

 地震に関する調査研究を行う政府の特別機関、地震調査研究推進本部(地震本部)は、駿する河が トラフを含めた南海トラフ(最終ページの地図参照)沿いに起きるM8〜9級の巨大地震の発生確率を「30年内に70〜80%」と想定している。今回の震源地は、その巨大地震の想定震源域内に位置していた。

 だが、気象庁は同地震発生後の会見で、「南海トラフ地震には、ただちに影響しない」と、直接の関連性を否定した。地震学が専門の京都大学名誉教授・梅田康弘氏は、その点について、こう解説する。

「南海トラフ地震に関係するフィリピン海プレートは、西日本の陸地が乗るユーラシアプレートの下に年間5〜6センチの速度で沈み込んでいます。それに耐えられなくなると、ユーラシアプレートが跳ね返って、巨大な海溝型地震が発生します」

 南海トラフ地震は、両プレートの境界で発生する。

 一方、今回の震源は、その境界より約10キロ深い海側のプレート内部で起きた単独の地震と判明している。

「したがって、発生メカニズムが違うため、これが南海トラフ地震の直接の引き金になることはありません。

 ただし、南海トラフ地震が近づくと、プレートの内部に歪みが溜まり、プレート内の岩盤が割れて地震が増えてきます。その意味では、この地震と南海トラフ地震との関連性はゼロではなく、長期的な意味での予兆、とも言えるでしょう」(前同)

 注目すべきは、活発度を増すフィリピン海プレートの動きだ。南海トラフ同様、フィリピン海プレートが陸側に沈み込んでいる台湾東部では、4月4日のM7・7を皮切りに、同23日にM6&M6・3と、大きな地震が頻発している。

「南海トラフ地震が起きる前は、プレートの運動による歪みがプレート内部にも溜まり、そこで岩盤が割れて地震が発生します。

 今回の豊後水道の地震も、その一つと考えられるので、“南海地震が近づいている証拠”とも表現できます」(同)

 南海トラフの地震は過去、90〜150年間隔で起きている。前回の昭和南海地震から約80年を迎える今、危機が迫っていることは紛れもない事実だ。

「現在の日本は、地震の活動期です。46年に発生した昭和南海地震の約50年後、95年に起きた兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)を皮切りに、西日本でも次々に大きな地震が発生しています」(同)

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