2度目の手術
ちなみに藪氏は、当の大谷に2度目の手術を決断させた故障の要因を推察して、こう指摘する。
「昨季までの大谷は、投げ終わりの右腕が、勢い余って左脇まで回ってしまうことが、よくあった。あれは左脇腹と右肘に相当、負担がかかる。まぁ、そこは彼のことだから、しっかり修正してくるはず」
現代野球において、故障は、もはや投手の宿命。
期せずして生まれた時間的猶予を自己研鑽に当てられる彼ならば、さらなる高次元の進化を遂げるだろう。
打者としてケタ違いのパワー
一方の打者・大谷は、飛距離&打球速度とも、今や大リーグでもトップクラス。
先日の“松井超え”には、かねて「僕の記録を抜く日本人は大谷だろう」と彼を絶賛してきた“世界の王”王貞治氏も、「想定を遥かに超える成長ぶりだ」と感嘆の声を上げている。
そんな打者・大谷のケタ違いのパワーに「度肝を抜かれた」と語るのが、多くのスラッガーから慕われた名伯楽・伊勢孝夫氏だ。
栗山英樹監督に“練習だけで金取れる”
日本ハム時代の大谷が足首の手術でWBCを辞退した17年の春季キャンプ。それは文字通りの“未知との遭遇”でもあった。
「1球目からバックスクリーン超えて場外でな。ケガ明けで別メニューやったやつが、初のフリー打撃でいきなり、そんだけ飛ばすんやから、そらすごいわ。ワシも思わず監督の栗山(英樹)に言うたもん。“練習だけで金取れる”って」
当時の報道によると、この日の大谷は41スイングで柵越えは13本。うち7本が、場外へと消えている。
中田翔やレアードも見とれる
「中田翔(35)やレアードも打つの止めて、ずっと見とったわ。ワシも飛距離のえげつない外国人を何人も見てるから、生半可なことでは驚かんけど、あれはバレンティンらの比ではない。
右打者が引っ張ったような打球を流し打ちで左中間に飛ばすんやから、見惚れる他はなかったよ」(前同)
当時は体もさほどまだ大きくはなく、フォームも足を上げて打つスタイル。
それでも、長いリーチを生かした振りの鋭さは、誰の目にも「モノが違う」と、ひと目で分かったという。
「並の打者なら、ちょっと見ただけで何かしらの欠点が見つかるんやけど、彼はそんな次元やなかったね。
大リーグのコーチが言う“日本人はオーバースピーク”。自分で最適解を見つけられる彼には、そういう部分でも向こうのほうが水は合ってたんやろね」(同)