首位打者にとって脅威

 では、夢の三冠王になるための条件とは……。

「同地区内での争いが終盤までもつれる展開こそが理想的なんです」(同)

 当然、同じ西地区最大のライバルであるパドレスも、対ドジャースに執念を燃やしている。5月4日には、4選手に金銭まで上乗せした破格のトレードで、2年連続首位打者のアラエス(27)をマーリンズから獲得したのだ。

「アラエスは、昨季6月まで4割超えの高打率をキープしていた現役最高のヒットメーカー。移籍したパドレスでのデビュー戦でも、いきなり4安打を放つなど着実に調子を上げている。目下、首位打者の大谷にとって脅威となる存在です。もっとも、最大のライバルは同僚ベッツという向きもありますが……」(同)

 ちなみに、三冠王獲得において最も難しいとされるのが、この首位打者。三度の三冠王に輝く、かの落合博満氏も「試合に出ている以上、打率は全員にチャンスがある」と、その難しさを認めている。ただ、藪氏は「大丈夫」と楽観的だ。

「今の大谷は、昨季以上にボール球の見極めができている。ワンバウンドになる低めの変化球、内角に食い込んでくるカット系、胸より上の高めの真っすぐ。それらを、しっかり“待てる”というのは、状態がいい証拠です。“ストライクゾーンをコントロールすべき”という監督からのアドバイスに、すぐさま対応してみせた修正能力も、さすが」

 そうなると、やはり最大の“障壁”は、予期せぬケガによる長期離脱か。ロバーツ監督からも“グリーンライト”を与えられている自慢の快足は、ともすれば故障リスクの増大にも直結しそうだが……。

「大谷自身も18年シーズンに左足首を捻挫していますが、走塁は今なお故障の最たる要因の一つ。本塁を除く各ベースが大きくなったことでリスクは低減していますが、油断は禁物です」(福島氏)

 もっとも、そうした心配を“杞憂”に終わらせてくれるのが、我らが大谷翔平。異次元の快進撃は、まだ始まったばかりだ 。

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