これぞマカオ名物!「回遊魚」ってナニ?
そんな"遊べる街"マカオで最近よく見る光景は、目を引く美女を連れてVIPルームを闊歩する男性の姿だ。彼らは一体、何者なのか。
「ルーレットに興じながら"当った! やった!"と言いながら、同伴女性の胸を揉んだり、尻をペローンと触っているのは、大体が中国共産党の幹部クラスの連中ですよ」(T氏)
実際マカオは、中国の有力者たちの不倫旅行の楽園となっているが、この傾向は中国が急速に経済力をつけてきた90年代に始まった。深圳から広州まで高速道路が完成して交通の便がよくなり、中国本土の役人が特権で入手した裏金と愛人を連れて訪れやすくなったのだという。
鉄火場には女がつきものとはいえ、誰もがVIPのように愛人同伴なわけではない。
そのためマカオではアジア有数の風俗産業が発展している。大金が動く場には、興奮を鎮めるために女を抱くことがセットになっているのだ。
そこでマカオの風俗事情について概要を紹介しよう。
まずは「サウナ」。作中でもエイジたちが訪れているように、観光客にも開放されており、まさにマカオ風俗の代表といえるものだ。
サウナ自体は普通の風呂なので、汗を流す場として活用することもできるが、その特色を発揮するのはショータイムである。
30分から1時間おきに女性たちが顔見せのために並ぶ。大箱のサウナであれば、顔見せの女性が100人を超えることも珍しくない。
その光景は、実に圧巻! 一見の価値がある。ちなみに、そこからの流れは、女の子を指名して店員に伝えると別室に通される。そこでプレイをしてから戻る流れである。
支払いのシステムは、料金を受付で支払うだけなので、難しくはないが、サウナ代(基本料金)とプレイ代は別。
しかもプレイのオプションが細かく設定されている店も多く、会計時には注意が必要だ。
「トラブル回避のためにも、必ず領収書を確認すべし」マカオ風俗に精通している人たちは、意外なほどに「システムの確認」を重視する。
お店の人も遊びに来る人も「流れ」から外れることを嫌う風潮が強いので、初心者ならば、余計な色気を出さずに無難に対応するのがいい。
この他にも、打令浴室1(ダーリンワン、通称ダーリン) や夜総会(ヤシャカイ)、賓館がある。
打令浴室1は、日本でいうソープランドのこと。といっても写真が載ったアルバムで確認するのではなく、ひな壇に並んだ女性たちから直接指名するのだ。
プレイについては、サウナと同じで店舗型のため、指名後に個室に移動して事に及ぶという手順である。どちらかというと、サウナに通い飽きた客が訪れる感じだ。
夜総会は、ナイトクラブのこと。日本の一般的なキャバクラというよりも、銀座の高級クラブを想像したほうがしっくりくるかもしれない。
それもそのはずで、多くの夜総会はホテル内に併設されており、カジノ目的で来たお客をターゲットにしている。ゴージャスな作りでルックス的にもハイレベルの女たちを揃えている。
客は店内でお酒を楽しみ、ホステスたちとコミュニケーションを取りながら、気に入った子がいれば指名して連れ出すことができる。料金はお店に払うので明朗会計なシステムではあるが、ほかの風俗店よりも高めの値段設定となっている。
とはいえ、高級店でも10万円以内で収まるので、銀座に比べれば割安といえるだろう。
一方、夜総会と対局の存在に位置づけられているのが賓館。ホテル型置屋のことだ。ホテルといっても、宿泊ではなく、女の子を連れ込むために使われる宿だ。
「サウナやダーリンより数段落ちる」マカオ風俗の経験がある人ならば口を揃えて、このように賓館を評している。
システムとしては、建物に入って並んでいる女の子を指名して部屋に連れて行く。時間は30分ほどで、落ち着いて楽しむ感じではない。働いている女の子も、ほとんどがサウナなどで雇ってもらえない子たちだ。
そして、マカオ名物と言われているのが「回遊魚」だ。この魚の正体は、「売春婦」。つまり、フリーランスの娼婦たちである。
リスボアやヴェネチアンなどの大型ホテルに行ってみれば、フロアをゆっくりと歩きまわる女たちを目にするが、彼女たちは立ち止まることなく、同じコースをウロウロとしている。
その様子からマグロなど決まったルートを回遊する魚に例えられたのだ。
なぜ娼婦がそんなことをしているのかと言えば、たむろしているとホテル側から排除されてしまうために動き回っているのだ。
ちなみに、システムは簡単で、歩いている回遊魚に目線を合わせたり声をかけると、向こうから値段を交渉してくる。そこで折り合いがつけば、部屋に連れ込める。自分の部屋でもいいが、彼女たちのほうが部屋を用意しているので、宿泊先のホテルでなくてもOK。
ただし、器量にはバラつきがあり、玉石混淆といったところだ。
ちなみに、フリーの娼婦を黙認しているのは、マカオに林立するホテル派閥の中でもマカオ系か、ランク的には下位にあるホテル。アメリカ系のホテルでは、入場そのものを断られることもある。
このようなマカオの風俗産業で働く女性たちは中国本土の女性が多いが、ほかにもタイ、フィリピン、ロシア、そして日本などからの海外出稼ぎ組もいる。その理由は、やはりマカオに集まるカネの力だろう。