「カップめんの秘密」ハマる食べ方からブームの変遷まで!!の画像
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 お湯を注げば、即完成。男の小腹を満たす、お手軽グルメ。永遠の定番から新潮流まで人気の裏側に迫る!

 昼食に夜食に、つい手が伸びるカップめん。もはや国民食とも言えるが、いったい、どれだけ食べられているか、ご存じだろうか?「平成26年度のデータでは、なんと日本で作られるカップめんの総数は35億1030万食。国民1人あたりにすると、年間で27.8食、13.1日に1回は食べている計算です」(グルメ誌編集者)

 都道府県別の消費ランキングを見ると、1位が山形県で年間2256円、2位が熊本県で1955円、3位が秋田県で1791円。その理由について、『立ち食いそば図鑑』の著書もある、めん文化に詳しいライターの本橋隆司氏はこう語る。「山形はもともと蕎麦の一大産地ということもあって、めん類がよく食べられていたんです。また、雪の多い地域も多く、冬の常備食としてよく食べられているのが、理由ですね」 寒い冬に、あったかいカップめん! そりゃ、ズルズルいっちゃうでしょう。

 そうかと思えば、地球の反対側でも、日本のカップめんは大フィーバー。「メキシコでは東洋水産の『マルちゃん』のカップラーメンが大人気で、シェアは8割。さらに、メキシコの新聞が、審議を早々と打ち切った議会を“議会がマルちゃんした”と報じるなど、もはや“早い”を意味する言葉としても使われるほどです」(全国紙外信部記者) ちなみに、現地の人々は、サルサソースやチリソースをかけ、ライムを絞って食べたり、スープを捨てて焼きそばのようにして食べたりと、オリジナルのアレンジを楽しんでいるという。

 そんなカップめんの元祖といえば、ご存じ、日清食品の『カップヌードル』。「誕生のきっかけは日本ではなく、米国・ロサンゼルスでのこと。当時、社長だった故・安藤百福氏が『チキンラーメン』を売り込むため、彼の地を訪れたんですが、丼を持たないアメリカ人は、紙コップで『チキンラーメン』を作ってフォークで試食し始めた。安藤氏はその光景を見て、カップに入れたラーメンを思いついたそうです」(前出のグルメ誌編集者)

 苦心の末に開発に成功し、『カップヌードル』が発売されたのは1971年である。以降、様々なメーカーが参入し、73年3月にはエースコックが『カレーヌードル』を発売。実はこれが日本初のカレー味カップめんで、定番人気の『カップヌードルカレー味』はエースコックの2か月後に発売。「『カレーヌードル』は現在でも東北地方限定で販売されていて、東北出身者にとっては王者の日清ではなく、エースコックがカレー味の定番。『カップヌードルカレー味』よりルーにトロみがあり、密かな人気商品です」(前出.本橋氏)

 ちなみに、『カップヌードル』のような“トール形”といわれる容器は、下から上に向けて広がるコップ型だが、中身は円筒形をしており、容器の中で宙に浮いた状態で入っている。「これには理由があって、1つはめんを容器にしっかり収め、輸送中に暴れて壊れるのを防ぐため。そして、容器下部に空間を作ることで、注いだお湯が対流現象を起こし、めんを均一に湯戻しすることにも役立っています」(前同) おいしさの秘密は、その容器にもあったのだ。

 お湯の戻し時間は3分のものが多いが、この待ち時間は、人間の食欲を刺激するのにもベストなようだ。「過去に1分で食べられる『クイックワン』という商品がありましたが、“早すぎる”“すぐ伸びる”などの理由で人気が出ず、早々に姿を消しました」(食品コンサルタント) この戻し時間については、容器に書かれている時間が最適と思われてきたが、商品によっては、それだけではない場合もある。「昨年冬、お笑い芸人のマキタスポーツ(46)が『10分どん兵衛』を提唱し、話題になりました。これは、その名の通り、日清の『どん兵衛うどん』を“10分待ってから食べる”もの。めんのコシは多少失われるものの、生めんのように滑らかな食感を実現することができるんです」(本橋氏)

 その反響の大きさに、日清食品も、この“10分どん兵衛”を公式な食べ方として認めるまでになった。「10分どん兵衛の、滑らかモチモチのめんは未体験の食感で、官能的とも言える美味さ。ただ10分も待つとツユがぬるくなるので、なるべく沸騰したてのお湯を使うか、別容器に入れてレンジでチンすると、より良いでしょう」(前同)

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