他にも、マウンドの硬さや、長距離移動の問題、慣れないボールで戦うハンディキャップなど、さまざまな問題があり、日本のチームが年間を通して、メジャーで戦うのは極めて不利と言わざるをえない。だが、そこは“日本チームのレギュラー陣が万全の状態でシーズンを乗り切った場合”という条件でシミュレーションしてみたい。

 さて、日本にセントラル・リーグ(セ・リーグ)とパシフィック・リーグ(パ・リーグ)があるように、アメリカにもアメリカン・リーグ(ア・リーグ)とナショナル・リーグ(ナ・リーグ)がある。ア・リーグはDH制を採用しており、ナ・リーグは投手も打席に立つ。できるだけ普段の野球でチャレンジするため、広島はナ・リーグ、日ハムはア・リーグで、ペナントを戦うことにする。前出の福島氏が解説する。

「伝統的にナ・リーグのほうが日本式の“細かい野球”が得意なのに対し、ア・リーグはパワーを前面に押し出した野球という特徴があります。どちらかといえば、日本チームは、ナ・リーグのほうがやりやすいかもしれません」

 広島の得意とする機動力野球は、ナ・リーグでこそ生きる、というわけだ。ここで、今季のペナントレースにおける広島の戦い方を振り返ってみると、まず、先発はベテランの黒田博樹を中心にジョンソン、野村祐輔、岡田明丈、久里亜蓮などの先発陣が試合を作る。その間、先制されたとしても、ジャクソンを中心とした中継ぎがしっかりと抑える。

 そして、守護神・中崎翔太がピシャリと後続を断つ。その間に、打撃陣が奮起して“逆転勝ち”というのが、今年の勝ちパターンだった。「なんといっても、黒田の存在が大きい。彼の加入によって、広島の投手陣は変わりました。メジャーと戦うことになれば、彼の経験と助言が、その投手陣を活性化させるに違いありません」(スポーツ紙デスク)

 打撃では、安定したリードオフマンとなった田中広輔がまず出塁、そして、菊池涼介、丸佳浩の「キクマルコンビ」が巧くつないで、4番の新井貴浩が確実にランナーを返す。逆転劇の仕上げは“神ってる男”鈴木誠也。彼が、劇的なサヨナラ弾をスタンドにぶち込んで試合を決める。

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