6月下旬から9月頃まで広島が体現してきた、こうした戦いをメジャーでも繰り返すことができれば、自ずと結果を出せるハズ。「広島の強みは、なんといっても“足を使った機動力野球”です。盗塁の数を見れば、セ・リーグでは断トツの118盗塁。2位のヤクルトが76盗塁であることを考えると、この数字は驚異的です。チーム出塁率.344に、この“足”が加われば、いかなメジャーの強豪チームでも、苦戦するでしょう」(前同)

 ここで注目してほしいのは、ナ・リーグには、昨年まで広島でエースとして投げていた前田健太の所属するドジャースがあること。マエケンと広島打線のぶつかり合いは、大きな見どころとなるだろう。何しろ、今年のマエケンは32試合164イニングを投げて、15勝9敗、防御率3.24という堂々たる成績で、ナ・リーグ新人王の有力候補となっている。

 野球評論家の橋本清氏は、広島対マエケンの戦いを次のように予測する。「今年の広島は、確かに好調ですが、この対決に限ってはマエケンに分があるでしょうね。メジャーのマウンドで、経験を積んだマエケンの前に、広島打線は沈黙してしまうんじゃないかと思います」

 さて、パ・リーグの強者・日本ハムはどうか。一般的には大谷翔平、有原航平の先発ツートップを中心として“投”のチームというイメージがあるが、実はチーム打率がリーグトップの.267。序盤で独走したソフトバンクに追いつくことができたのは、多分に“打撃”の力だった。そして、その原動力が打者・大谷の活躍だったことは、今さら言うまでもないだろう。

 前出の橋本氏は、広島と日本ハムがメジャーで戦うとしたら、より期待できるのは日本ハムではないかと分析する。「どちらかといえば、常識的な采配をする緒方監督よりも、思いがけない手を打ってくる栗山監督のほうが、メジャーで力を発揮するような気がします」

 もちろん、日本ハムが厳しいリーグを勝ち抜くためには、大谷が投打の両方でフル回転することが必要条件となる。9月14日のオリックス戦で、大谷のストレートが日本最速の164キロを記録したことは、アメリカの野球ファンの間でも大きな話題になっている。

 時速100マイル(約163キロ)以上の速球を連発するカブスのチャップマンに匹敵する投手が日本にも登場したのかと、驚きを持って迎えられているのだ。「大谷は現時点でメジャートップクラスの投手と比較しても、遜色のない実力を持っています。ダルビッシュや田中将大以上の活躍が期待できます」(福島氏)

 そんな大谷が、日本ハムの一員として、アストロズのアルデューベ、レッドソックスのペドロイア、オルティス、エンゼルスのトラウト、オリオールズのマチャド、タイガースのM・カブレラ、マリナーズのカノなどの並み居る強打者たちをキリキリ舞いさせるシーンを、何度も目にすることができるはずだ。

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