それにしても、なぜ、そこまで韓国は慰安婦像にこだわるのか。元時事通信ソウル支局員の評論家・室谷克実氏が、こう語る。「韓国国民の7割がいわば“反日教”という宗教の信者。したがって、教義に反することを言うと叩かれるわけですよ。その“本尊”が慰安婦像というわけです。釜山市東区の区長が慰安婦像の前で目をつむって頭を下げ、あるいは韓国の高校生が慰安婦像の前にひれ伏して拝んでいる姿に、典型的な“反日教”信者を見ることができます」

 つまり、慰安婦像は絶対不可侵な宗教的象徴。だからこそ、これまで積み重ねてきた日本とアメリカとの関係より慰安婦像と反日が優先されるのだという。しかし、その先にあるのは自滅、ひいては「亡国」への道だ――。

 そこへ至るまで、どんなシナリオが隠されているのか。室谷氏がこう続ける。「韓国には、この機に乗じて、国民生活がどうなろうが、日韓や米韓の関係をもっと悪くしてやろうという連中がいます。それが左翼勢力。日米両国に見放され、北朝鮮に併合されることを望む勢力です」

 しかも、このまま問題がこじれたままだと、慰安婦像を“本尊”と仰ぐ国民が現実に、左翼政権を誕生させかねない情勢だという。「韓国の憲法裁判所が、職務執行停止中の朴槿恵大統領の弾劾訴追を4月に認めた場合、5月か6月には大統領選が行われる予定です。その選挙の世論調査で断トツの支持を集めているのが、左翼政党『共に民主党』の文在寅前代表です」(全国紙国際部記者)

 しかも、文氏の最大のライバルであった、保守派の潘基文前国連事務総長は、2月1日に大統領選不出馬を宣言。もはや、韓国に左翼政権が誕生するのは確実な情勢だが、この左翼団体こそが慰安婦像設置を扇動しているという。「韓国内の多くの慰安婦像設置に左翼勢力が関係しているといわれています。釜山の慰安婦像設置のための募金窓口や設置団体には、左翼勢力が入り込んでいるんです」(前出の室谷氏)

 竹島に慰安婦像を設置しようとしているのも、京畿道議会の民主党を中心とするグループ。左翼政権が誕生すれば、慰安婦問題はますますこじれるばかりだ。「新政権はまず、日韓合意を白紙に戻し、再交渉を求めるでしょう。彼らの狙いは、日本から新たに金を引き出すことです」(前同)

 むろん、日本が応じられる話ではない。そうなると当然、「韓国は国連人権委員会などの国際世論に訴える挙に出る」(同)という。

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