軽部:あと僕が『ゼルダ』で好きだったのは、やっぱり「穴探し」ですねぇ。ひたすらバクダン置きまくりましたもん。
オイ:マップの隅々まで(笑)。
軽部:一応補足しておきますと、『ゼルダ』では、なんの変哲もない壁にバクダンを仕掛けると突然穴が開いたり、木をロウソクで燃やすとそこに階段が出てきたりするんですね。
オイ:そこ入っていくと「ハートのかけら」(※注3)があったりする。ゲーム本編とは関係ない“寄り道”要素ですね。
軽部:それこそ、タテヨコ1マス1マスいちいち確かめて……。バクダンとロウソクだけで、どれだけやること増えてるんだっていう(笑)。
オイ:思えばヒマなゲームですよねー(笑)。
軽部:ほぼほぼ何も起こらない。でもたまーに穴が開くんですよ。これがめちゃくちゃうれしい。
オイ:あれは、ファミコンのグラフィックだからこそですよね。同じパターンの絵なのに、開くのと開かないのが存在する。今の3Dの世界だと「壊れる壁」は表現的にすぐ分かっちゃうんですよね。
軽部:そうなんですよ! 僕がファミコン以降の『ゼルダ』シリーズで不満なのは、穴の開く場所がグラフィックで表現されてしまったところ。壊せる壁には必ずヒビが入ってる、それがつまんないんですよねー。ファミコンの『ゼルダ』は、ヒビの入ってる壁もそうじゃない壁も、両方に穴が開く可能性があった。そこに無限の広がりを感じてたのに……。
オイ:何もなさそうなところで、1か所でも穴が開けば良いんですよね。
軽部:そうそう。それでこっちは勝手に勘違いして探しまくっちゃうから(笑)。
オイ:ゲームの本筋に関係ない「ごほうび」としてね。
軽部:だって、たとえばファミコンの『ゼルダ』では、墓場にたくさんの墓石があるわけです。あんなに同じものが均等にズラッと並べられて、その中の一個だけが動いたりするんですからね。そういうのがあるから、勝手にイメージ膨らませてワクワクしちゃうんだよなぁ。
オイ:だから僕、『ゼルダの伝説』には、いまだにまだ知らない謎が残されてるんじゃないかとすら思ってますよ。
軽部:もちろん後のシリーズでも「探す楽しさ」はあるんだけど、ファミコン版はそれがより荒っぽく入ってた。だから遊ぶ側がいっぱい、いい意味で勘違いできたのかなと。
オイ:荒削りであるがゆえに、見た目以上に世界に奥行きがあるような感じがする。それこそファミコンの名作に共通する現象かもしれませんね。
<注釈>
※注3:「ハートのかけら」とは、リンクの体力を増やすことができるアイテム。他にも、お金があったり持てるバクダンの数を増やすことができたりと、穴を発見すると冒険の手助けとなることがほとんどだが、まれにプレイヤーにとって悪いことが起こるケースも……。