日本と韓国、いまだかつてない「絶縁の危機」の画像
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 朴氏の罷免で始まった次期トップ争い。大本命の左派が就任するならば、我が国にも思わぬ“火の粉”が!?

 3月10日、朝鮮半島に激震が走った。韓国の現職大統領・朴槿恵氏(65)が、憲法裁判所で罷免を言い渡されたのだ。「国会の弾劾訴追を審理していた憲法裁判所の決定が出たんです。裁判官8人全員が罷免に賛成した結果、朴氏は即、大統領を失職。不訴追特権を失ったので、今後、職権乱用罪はもちろん、贈収賄容疑でも逮捕、起訴される可能性があります」(全国紙国際部記者)

 多くの国民が快哉を叫ぶ一方で、同日、朴氏を支持する罷免反対派は暴徒化。警官隊と衝突した結果、2人が死亡、60人以上が負傷するという大騒動に。韓国の憲法では、大統領が失職した場合、60日以内に大統領選を行わなければならないことから、実質、すぐに大統領選挙戦に突入し、投開票日は5月9日が有力視されている。

 次期大統領は、かねてから保守派の潘基文・前国連事務総長が最有力候補とみられていたが、朴氏の罷免が決まるのを待たず、2月には不出馬を表明した。外交評論家の井野誠一氏が解説する。

「潘氏が出馬に動いた後、実弟が贈収賄事件で米当局に起訴されました。また、潘氏自身にも韓国の政商から多額の不正献金を受けていたとの疑惑が出た。これらは、野党側が仕掛けたとの説もあり、潘氏は、そのような駆け引きに嫌気がさしたようです。いずれにしろ、打たれ弱い者は政治家向きではないでしょう」

 現在、大統領代行を務める黄教安・首相は、後任としてはどうか。世論調査機関『韓国ギャラップ』が、3月10日に発表した支持率調査によると、黄氏は前大統領の悪い印象を受け継いだ格好で、支持率9%と第3位に甘んじている。

 それでは、現状で、ポスト朴の最有力は誰なのか。同調査によると、左派系の最大野党『共に民主党』の文在寅・前代表(64)が、支持率32%でダントツの1位。2位につけた同党の安煕正・忠清南道知事(17%)とダブルスコア近く差をつけており、競馬で言えば“大本命”なのだ。

『コリアレポート』編集長の辺真一氏は、「過去の韓国大統領選を見ると、最有力候補が最後に逆転される傾向があります。今回は、保守、中道派が“反・文在寅”の一点で固まれば、安氏が逆転する可能性もあります」としたうえで、「私は現状、文氏60%、安氏40%の当選確率とみています」と推測する。

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