アジア人初「バリスタ世界王者」井崎英典の仕事哲学の画像
アジア人初「バリスタ世界王者」井崎英典の仕事哲学の画像

 世界を飛び回るコーヒーエバンジェリスト、井崎英典。各地にクライアントを抱え、飛行機で国境を超える日々が続く。彼の存在を世界に知らしめた「ワールドバリスタチャンピオンシップ」での優勝、世界の頂点に立つまでの道のり、そして今の目標について、先日発売された書籍『BREAK!「今」を突き破る仕事論』(双葉社) から、一部を抜粋してお送りする。

 コーヒーはいま、日本人の毎日の生活に欠かせないもののひとつになっているのではないだろうか。ドトールコーヒー、スターバックス、エクセルシオールカフェ、カフェ・ベローチェなどのチェーン店、個人経営のお店を含めて6万9983件の喫茶店がある(2014/総務省統計局「事業所統計調査報告書」参照)。

 この数字を見ると、カフェやバールのカウンターに立ち、注文に合わせてコーヒーを淹れるバリスタも数千人単位でいると予想されるが、「コーヒーエバンジェリスト」(※エバンジェリスト=伝道者)を名乗って世界を飛び回っているバリスタは、日本にひとりしかいない。井崎英典だ。

 井崎は現在、珈琲専門のフリーコンサルタントとして世界中にクライアントを持ち、コーヒーのチェーン店での技術指導や教育システムの構築、コーヒー機器メーカーのテクニカルコンサルタントなどを行っている。昨年は68回飛行機に乗り、出張日数は226日というから、まさに引っ張りだこだ。今年もすでにオーストラリアに2回、インドネシア、イタリア、イギリス、ギリシャ、スイス、中国、シンガポール、台湾を訪れた。

 なぜ、弱冠27歳の日本人がここまで世界に求められるのか。その理由のひとつは、彼が「世界王者」の称号を持つからだろう。井崎は2014年、24歳のときに世界のバリスタの憧れの舞台である国際大会「ワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)」でチャンピオンに輝いた。

 2000年に始まったWBC史上、アジア人は井崎しかいない。世界の頂点への道のりは、どのようなものだったのだろうか。

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