「日馬富士は満身創痍。鶴竜もケガが多く、本来の力を発揮できていない。ですが、最も深刻なのは、白鵬かもしれません」(前同)

 幕内優勝37回他、大相撲の記録の多くを塗り替えてきた白鵬だが、最近はケガに泣かされ続けている。今場所も4日目まで2勝2敗。5日目から「古傷の右足親指の捻挫と右太腿筋肉群の損傷で3週間の加療が必要」との診断書を提出して、休場している。

「4日目に平幕の勢に寄り倒しで敗れた一番は“こんな白鵬、見たことない”と言いたくなるほどの脆さ。場所前の稽古で右足裏の皮が剥がれ、踏ん張れなくなったそうですが、それを差し引いても足腰の衰えは隠せなくなってきた。昨年9月に手術した右足親指の経過も万全ではないようです」(前出の専門誌記者)

 横綱に昇進して10年。昇進後、約8年間、一度も休場のなかった白鵬が、この1年半で3度の休場に追い込まれているのだ。

「遅咲きの稀勢の里が、心技体ともに充実期を迎えつつあるのと比べると、白鵬の衰えが嫌でも目立ってしまうのは寂しいですね。おそらく、今後3年くらいは稀勢の里の黄金時代でしょう。白鵬の場合、体調面もさることながら、精神面が気がかり。自分の後継者と言える日本人横綱が誕生したことで、相撲への意欲が保てるかどうか」と、スポーツコメンテーターの大野勢太郎氏は心配を口にする。続けて、「実現してほしくはないですが、白鵬の年内引退も視野に入ってきたと言えるのではないでしょうか」

 当の白鵬は32歳の誕生日(3月11日)に、こう語っている。「ケガをしやすい体になったのかな。歴代の横綱も30歳から31歳で、力士としての活躍がだいたい終わっている。(自分は)やっていけると思うけど」

 白鵬らしくない弱気な発言である。となると、気になるのは「次の横綱は誰か?」ということだろう。前出の大野氏が言う。

「ここ1~2年、生きのいい若手力士が増えてきましたが、大関までは想像できても横綱となると難しい。そんな中、いずれは横綱になるだろうと思わせてくれるのが高安です。高安の強みは兄弟子の稀勢の里と毎日、稽古ができること。強い横綱のいる部屋は相乗効果で、強い力士が生まれるものなんです。若貴兄弟がいた頃の藤島部屋しかり。千代の富士と北勝海がいた九重部屋しかり。今の田子ノ浦部屋にも同じことが言えます」

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4