経産省から“夫人付”として内閣官房へ出向した谷査恵子氏も、その一人。ところが、その“監視役”が、籠池理事長からの依頼で国有地払下げに関し財務省に問い合わせたとして、国会で追及されているのだから、“ミイラ取りがミイラになった”ようなもの。いずれにせよ、「安倍総理の最大のアキレス腱はアッキー」(同)という状況は、今後も続きそうだ。

 安倍政権にとってのリスクは、昭恵夫人だけではない。森友学園の弁護士として民事訴訟の法廷に出廷していたことが発覚し、「私の記憶に基づいて……」という意味不明な答弁で炎上した稲田朋美防衛相だ。南スーダンに派遣されていた自衛隊の「日報」が「破棄された」と答弁した後、実は保存されていたことが発覚。指導力が疑問視されている矢先のことだった。

 幹部自衛官が証言する。「女性で童顔、女性らしいファッション……自衛官は、そんな大臣をどこか侮っているフシがあります。同じ女性大臣でも、小池(百合子)さんが大臣だったときとは大違いですね」

 小池都知事は防衛大臣当時、守屋武昌事務次官と対立し、渋る官邸に首を切らせている。「制服組(自衛官)は、その剛腕にシビれて小池さんに心酔しました(笑)。背広組(官僚)も半数は小池大臣支持に回ったんですから、凄いですよ」(前同)

 首相の寵愛を一身に浴び、“日本初の女性首相候補”といわれたのも今は昔。与党内からも「退任論」が出始めるなど、稲田防衛相の評価は大きく揺らいでいるという。それでも、弁護士から政界へ引っ張り出した責任を感じているのか、安倍首相だけは彼女を庇い続けているのだ。政治評論家の有馬晴海氏が言う。

「安倍総理の代わりに靖国神社に参拝してくれているだけに、そう簡単に首を切れないんでしょう。そもそも、安倍総理も昭恵夫人の問題があり、稲田さんだけが悪いとは言えない事情があります。ただ、彼女は防衛政策は素人同然。答弁能力にも問題がありますね」

 昭恵夫人に稲田防衛相、“女難”に見舞われているようにみえる安倍首相だが、政権を攻撃する好機を得たはずの野党にも、不安が残るという。「民進党には、06年(当時は民主党)の“偽メール事件”のトラウマが尾を引いています」(前出の記者)

 同事件は、民主党議員が自民党を追及するべく国会に持ち出したメールが捏造されていたというもの。

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