基本的に、高さは床に置いたときは5センチ、布団に置くと3センチくらいになる。「肥満体型や猫背の人はプラス1センチ、柔らかい敷き布団を使っているときはマイナス1センチといった微調整をする必要があります」(小林院長)

 枕は横向きに寝たときの高さも大切になる。横向きに寝たとき、額の真ん中、目と目の間、喉、胸の中央の線が一直線になるのが、自分に合った高さの枕なのだとか。高さの調整の次に大切なのは、枕の「硬さと形」。

「寝ているときに寝返りを打ちやすい枕。このために大切なのが、硬さと形なのです」(前出の大村院長) 実は、寝ているときに寝返りを打つことは非常に大切だという。寝返りを打てないと、体がずっと同じ姿勢のため、血液やリンパ液が1か所に滞り、体温にも偏りが生じる。このため、寝返りが打ちにくい枕だと、熟睡もできなくなる。

 寝返りが打ちやすい枕は、仰向けの状態から左右に動きやすいことがポイントになる。「仰向けに寝て、無理をせず、スッと左右に頭を動かして横向きになれるようなら、いい枕と言えます」(前同)

 フカフカして柔らかい枕では、これができなくなる。高級枕の代名詞である羽毛枕も寝返りを打ちにくいため、健康的な枕とは言えないという。「そばがら枕もスカスカで緩いものは頭が沈み込んでしまうので、いいとは言えません。枕の上で体ごとクルクルと回転できる硬さで、あまり沈み込まないようなものを選ぶのがコツです」(同)

 最近、中央をへこませた形状の頭が動きにくい枕も売られているが、これも寝返りを打ちにくいので、いい枕とは言えないという。形も、丸く膨らんだものより、全体的に平坦な形のほうがお勧めだそうだ。

 ちなみに、大村院長は冷え性の患者さんに「寒くても、なるべく靴下をはいたり、足を毛布でくるんだりしないほうがいい」と指導しているという。

「靴下などをはくと、寝返りが打ちにくくなるからです。逆にシルクのパジャマなどは寝返りが打ちやすいので勧めています。寝返りを打てることは、とても大切だからです」

 なお、寝返りが打ちにくい枕を使うと、寝相が悪くなったり、朝起きたときに枕を外した状態になっていたりするという。「これは典型的な寝返りを打ちにくい枕で、変える必要がありますね」(大村院長)

 なお注意したいのは、長年愛用している枕も悪い枕になってしまうことがある。「最初は高さがぴったりでも、何年も使っているうちに、ヘタったり、中央が凹んできたりしてしまうことがあるからです」(前同)

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