●41歳 年収1000万超えの男「高卒だった私が成功した理由」

 高校卒業後、車のディーラーとして働き始めた吉野英俊さん(41・仮名)は、3度の転職を経験し、現在の年収はなんと1100万円。その躍進劇をうかがった。「今思うと、ディーラーは思うように休みが取れず、ブラックでしたね。でも、営業の仕事自体はとても楽しくて成績も常に2番。外車を売っていたので、できるだけ敷居を低くし、お客様に親しみを持っていただけるよう接することを心がけ、9年間勤務しました」

 このときの年収は400万円。結婚して子どもが生まれたことで、吉野さんは転職を意識するようになる。「休みが取れず、幼稚園の行事に行けないことが苦痛で。そこで、調剤薬局の仕事をしていた父親に教えてもらったのが、製薬会社のMRでした。でも、MRの資格が必要で、大卒を条件に挙げている会社も多かったんです。そんな中、運よく高卒でもOKで、資格も在職中に取れるところを見つけて採用試験を受けました」

 ディーラー時代の営業の実績を認められ、無事内定。年収は一気に倍の800万円まで跳ね上がった。休日も取れるため、家族との時間も確保でき、精神面でも余裕のある生活を送れるようになった。仕事はディーラーと同じ営業だが、最初は戸惑うことも多かったという。

「それまでは一般の人に向けて車を売っていました。車に関しては人より詳しいので、お客さんに車の魅力を説明すればよかったんですが、MRとして薬を売る相手は自分よりも薬に詳しい医者。しかも、クセのある方ばかりで参りました」

 ここで吉野さんは、ちょっとしたテクニックで、この壁を乗り越える。「薬について詳しい医者に、研修を受けただけの自分が説明をしても、医者の機嫌を損ねてしまうだけです。だから“薬のことをよく知らないので教えてください”と、医者に下手に出ましたね。他の人が会いに行くのを嫌がるほど厄介な性格の医者のところにも、あえて営業に行くと、意外と面白い人だったりして、ゴルフに誘われたこともありますね。人がやらないことをやるのが、強みに繫がると思います」

医者との距離をうまくつかんだ吉野さんは、メキメキと成績を上げると同時に、MRの資格も取得。その2年後、もっと上を目指したいと、別の製薬会社の転職に成功する。

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