野村監督に続く存在と言えば、落合博満監督を置いて他にはないだろう。「当時は物議を醸した07年日本シリーズでの、山井大介&岩瀬仁紀のパーフェクトリレーあたりは、落合さんならではの冷静な判断でした。それまで一度も1軍登板のなかった川崎憲次郎を起用した04年の開幕戦なども、就任初年度にして“オレ竜とは、こういうことだ”という意思表示を内外にしてみせたわけですから、あれもまた、れっきとした名采配ですよ。GMとしての評判はともかく、監督としての落合さんは、どう考えても名将ですね」(野球誌編集者)

 ちなみに、批判も渦巻いた山井の一件は、登板中にマメを潰していた&右肩痛でCS登板を回避していた、といった複合的な判断から本人も納得の降板。川崎の起用についても、当の本人が「意気に感じた」と述懐するなど、そこに選手との信頼関係があったがゆえに振りえた采配でもあったのだ。

 名将と言えば、この人の名前も。「僕は仰木彬監督を推したいですね。打線の組み替えや巧みな継投といった実戦における“仰木マジック”もそうですが、今や日本だけでなく世界の至宝と言ってもいいイチロー(現・マーリンズ)を世に送りだした功績は、とてつもなく大きいでしょう。また、当時は物珍しかったカタカナ表記の登録名にしたって、佐藤和弘を同時に“パンチ”へと改名することで、しっかり風よけにしていましたしね」(スポーツライター)

 監督の代名詞として“マジック”が浸透しているのは、往年の巨人を率いた三原脩を除けば、仰木監督とロッテを率いたボビー・バレンタインぐらい。そういった意味でも、近鉄、オリックスで一時代を築き上げた仰木監督は、90年代を語るうえでも、特筆すべき存在と言っていいだろう。

「誰もが認める“名将”というわけでは決してないですが……。最近だと15年に楽天・大久保博元監督が下した松井裕樹のクローザー転向なんかは、かなりの名采配ではないですか。デーブさんいわく、血液検査で副交感神経が優位な自律神経の持ち主、つまり緊張しにくい性格であるということに、お墨つきをもらったうえでの配置転換だったそうですから、単なる思いつきではなさそう。それが2年連続30セーブを達成して、最年少で侍ジャパンに選ばれるまでになっているんだから、大したものだと思います」(楽天担当記者)

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