●心臓病・高血圧に効く

 命をも奪う“高血圧”。血を全身に送る役割を果たす“心臓”の病とも密接な関係にあるこの症状は、心筋梗塞、脳梗塞をも引き起こすのはご存じの通り。しかし、驚くなかれ。高血圧に効く“特別な湯”が存在するという。

「心臓病や高血圧に効くとされる“心臓の湯”の泉質は、ヨーロッパに多い炭酸泉(二酸化炭素泉)でしょう。炭酸ガスは、微温湯・低温泉によく溶けており、高温泉ではないので、心臓への負担も少ない。体の隅々まで血行を良くして、新陳代謝を促し、血圧を下げるのです」(石川氏)

 日本有数の炭酸泉として名高い長湯温泉(大分)は、その名の通り、“長湯”するうちに血圧が下がってくるという。エネルギー代謝率が上がるので、痩身効果も期待できるというから、ありがたい湯処だ。「ただし、炭酸泉は、日本にそれほど数多くはありません。しかし、“ぬる湯”であれば、血圧を下げる効果が見込めます。たとえば、板室温泉(栃木)や、榊原温泉(三重)など、ぬる湯のアルカリ性単純温泉も、高血圧や心臓病に効果的とされているんです」(温泉ライター) ぬる湯は、“体に優しい”温泉なのだ。

●腰痛・肩こりに効く

 よく温まると痛みはかなり和らぐので、腰痛・肩こりに、温泉がガッツリ効くことを期待できようもの。「腰痛には“源泉”の打たせ湯がある名湯がオススメです。酸ヶ湯温泉(青森)、乳頭温泉郷の黒湯温泉と孫六温泉(ともに秋田)が打たせ湯の名湯ですので、そこで時間をかけて湯を味わうのもいいでしょう」(石川氏)

 ここで、石川氏がこだわるのが、“源泉”。温泉選びにおいて、このことがまず最重視されるべきポイントだと言う。「病を治すためには“源泉かけ流し”を選ぶことが基本です。中でも、より効く温泉は、塩原温泉郷のように、“共同浴場”や“共同湯”がある温泉地です。そこでは、湧きたてホヤホヤの新鮮な源泉を、そのまま掛け流すので、その湯の成分と個性が存分に味わえます」

 体にイイ湯にザブッと浸かれば、この世の極楽ここにあり。灯台下暗しになるなかれ。桃源郷は、きっとすぐ近場にある!

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