肌の話が出たところで、「顔色」にも注目だ。

●顔色が白い、赤い 「顔色が白っぽくツヤがない場合は、肺など呼吸器系が弱いことがあります。中医学では“肺”はいわゆる肺臓だけでなく、鼻、ノド、気管、気管支、皮膚までを含みます。この皮膚が弱いため、メラニン色素を作る能力が低いと考えられています。一方、いつも顔が赤らんでいる場合は、心臓の不調が疑われます。心臓がよく働いていないと血液の流れが悪くなり、熱が体の上部に偏るためでしょう。心臓の症状がさらに悪化すると、今度は顔色が黒ずんだり、逆に蒼白になったりします」 なお、顔色が黄色の場合は肝臓、膵臓および胃腸が、黒い場合は“腎”やホルモン系、赤味が異常に強い場合は、心臓系の不調が考えられる。

 以上、駆け足で説明してきたが、猪越氏はこう結んでくれた。「中医学では“未病”という概念があります。これは、“西洋医学でいう病気というほどではないものの、健康体と病気の中間、病気に向かいつつある状態”を指します。“なんとなく不調”というのは、基本的にその状態です。人の顔をジロジロ見るのは失礼な行為ですが、自分の顔なら問題ありません。興味が湧いたなら、顔のチェックを始めてください。現在のあなたの健康状態を知るのに大いに役立つと思いますよ」

 忙しくて病院にも行けず、健康検診を受けている時間もないというお父サンは、朝のヒゲ剃りの際、鏡を見るついでに、この自己診断をしてはどうだろう。「何かおかしい」と思ったら、乱れた日常生活を見直す契機にすればいいし、「かなりおかしい」と思ったなら、迷わず病院へ行くべし。自分以上に、自分の体の不調が分かる人は、いないのだから。

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