塩分過多からくる高血圧が動脈硬化の原因となり、心疾患、脳血管疾患などの循環器系の疾病はむろん、がんも誘発すると考えられるのだ。医療ジャーナリストの牧潤二氏が指摘する。

「厳しい冬の間、家に閉じこもりがちな東北ですが、中でも秋田は昔から自殺率の高さが全国1位です。酒量、喫煙率の高さも全国有数で、こうした要素もいろいろ絡み合っていると考えられます」

 その牧氏が注目するのが医療格差だ。「宮城の死亡率は37位と、東北では段違いに低い。これは、宮城県仙台市には“東北の東大”こと東北大の医学部があり、そこを拠点に、医療体制が東北ではダントツに充実しているというのが要因だと思います」

 優れた医療機関の存在で、死亡率はガクンと減るというのだ。「もちろん、同じ東北でも、青森、岩手、秋田ほど宮城は寒さが厳しくなく、塩分過多の食文化も、その3県ほどではないのも大きいとは思いますが……」(前同)

 死亡率の4~5位は一転、西日本の和歌山、鳥取と続く。牧氏は、これも医療格差が大きいと見る。「2県とも人口が少なく、医療設備が充実しているとは言い難い。しかも和歌山は紀伊山脈が通り、救急搬送がままならない地域も多い。1990年もワースト3位でしたが、この問題は解決するのが非常に困難なのでしょう」(同)

 1960年の調査では、和歌山は41位と非常に低かったが、これは当時の日本では全体的に医療体制がさほど充実しておらず、たまたま、わずかの差で、その位置につけることができただけと思われるという。

 死亡率が低い「長生き県」にも目を向けてみよう。1990年に引き続き、2015年でも長野県がトップに君臨するのはなぜなのか。

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