安倍政権は岩盤規制にドリルで穴を開ける姿勢をアピールしているが、古賀氏は「大きな岩盤の前で尻込みしてドリルを回さず、ただ、ティッシュペーパーにつまようじで穴を開けているだけ」と一蹴する。

「そもそも、安倍政権がこれまで岩盤規制を切り崩したことはありません。むしろ逆。たとえば受動喫煙対策法。2020年の東京五輪で実現するためには、先の国会に提出しなければならならないところ、結局、自民の族議員が厚労省の案は厳しすぎると言って反対し、まとまりませんでした。同じ東京五輪のために共謀罪法案は強引な手を使ってでも通したのに、受動喫煙対策法は通せない(苦笑)。こんなことがありますか? それでも塩崎(恭久)厚労相はなんとか頑張って法案を提出しようとしたんですが、そのはしごを外したのは安倍首相自身でした。族議員に迫られ、“問題はこの人だね。任せるから”と逃げたそうです」

 塩崎厚労相に加え、古賀氏がもう一人、注目した大臣がいる。加計学園問題で、文書があるのかどうかについて、矢面に立った松野博一文科相だ。

「松野文科相は絶妙な立ち位置でしたね。官邸VS文科省の構図の中で、安倍首相に忠誠を尽くさないといけないし、だからといって、文科省の官僚を全員敵に回すわけにもいかない。しかも、来年には自分の選挙も控えているから、悪者にもなれない。松野さんは、その微妙なバランスの上で立ち回っていたんですよ。曖昧な対応や方針転換をしたにもかかわらず、世間では“松野はダメだ”みたいな批判は少ないでしょう? うまいですよね。それからみると前川さんの行動はどうでしょう。彼自身、正義のための告発と思っているんでしょうが、その正義というのは文科省にとっての正義。だからこそ、文科省の一部から情報が得られ、次々と情報を世間に出せるんでしょう。でも、文科省の問題は何一つ出してこない。出せば、文科官僚の支持を失いますからね。そのあたりが前川さんの弱点かもしれません」

 加計学園問題に先立つ森友学園の問題では、安倍昭恵夫人や夫人付秘書である谷査恵子氏に話題が集中。森友学園の籠池泰典前理事長が谷氏を通じて国有地払下げの件で財務省に問い合わせたところ、「国有財産管理室長から回答を得ました」というFAXが谷氏から籠池氏の元へ送られ、それが問題視されたのだ。

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