そこは、「何があろうとも安倍をど真ん中で支える」と、政権発足以来、周囲に宣言し続けてきた麻生氏のこと。“安倍降ろし”に積極的に加担することを潔しとしなかったのだろう。ところが、都議選に惨敗し、政権支持率が40%を割り込むのを目の当たりにして、その心境に変化が見え始めたという。77歳の麻生氏が、「俺は80歳まで議員を続ける」と周囲に公言し始めたというのだ。

「財務省にしてみたら、消費税率引き上げ延期の期限である19年10月に予定通り増税するには“麻生首相”が理想的。麻生氏も官僚に乗せられ、消費増税に消極的な安倍首相に代わり、自分が首相になって増税を確実に断行しようと思い始めているようです」(同)

 これは、安倍首相にしてみれば“麻生氏の裏切り”に他ならないが、その動きが具体化するのは、次の内閣改造後になるという。「内閣改造と党人事は8月中旬過ぎの予定でしたが、支持率が急落したため前倒しされ、8月3日が最有力。財務相の麻生さんは留任。官房長官は小泉進次郎君のサプライズの線も残りますが、菅さんの留任が濃厚です。稲田(朋美)防衛相と金田(勝年)法相はクビが確定です」(自民党関係者)

 争点になりそうなのが、党の三役人事だ。「岸田(文雄)外相が閣外に走り、幹事長職を要求しているようです。ただ、安倍首相は“敵に回すと厄介”という理由から、二階(俊博)さんの続投を決めており、岸田さんは政調会長が有力。ハト派の岸田さんに改憲議論を取りまとめさせると都合がよいからです。問題は、麻生さんが甘利(明)元経済再生担当相の幹事長起用を求めていること。甘利さんは仲間4人を引き連れて麻生派入りしてくれたため、麻生さんとしてはその功に報いる必要があるからです」(前同)

 ただ、甘利氏は政治と金の問題で閣僚を辞任した経緯があるため、世間の評判は芳しくないはずだ。「そこで、安倍さんは甘利さんを総務会長に据える意向のようですが、麻生さんがこれをどう思うか。先日、山東派を吸収して59人に膨れ上がった麻生派(志公会)は、党内第2派閥になった。麻生さんは甘利さんの起用以外にも、派閥メンバーに閣僚ポストを要求し、安倍首相に“踏み絵”を迫るはずです。もし意向が通らなければ、改造後の秋口からは、派閥をあげて露骨な“安倍降ろし”に舵を切るはずです」(同)

 “政権の要”である麻生氏の心をつなぎとめることができるか――ここに、安倍政権の命運がかかっている。

本日の新着記事を読む

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4