「最高検察庁公安部長や東京地検特捜部長を歴任した元検事の熊崎勝彦NPBコミッショナーが、この判決を気にしたため、原さんの目がなくなったという話もある」(事情通)

 原氏が代表監督に就任した場合、この問題が蒸し返されることを懸念したのではないかということだ。「契約期間の問題も含め、絶対の本命だった原監督が消えたのは、6月下旬だったそうだ」(前同)

 NPBは新たな候補を考えねばならなくなったが、稲葉氏の名前がすぐに出てきたわけではない。監督の人選は、侍ジャパン強化委員会の井原敦委員長(NPB事務局長)と、山中正竹強化本部長(全日本野球協会理事)が一任されているが、「“五輪監督はビッグネームで”という暗黙の了解があったので、稲葉氏に決まるまでには、多くの候補者の名前が挙がったようです」(スポーツ紙デスク)

 原氏のあとに候補となったのが、前ソフトバンク監督の秋山幸二氏、前DeNA監督の中畑清氏、栗山英樹日本ハム監督ら。しかし、交渉はすべて不調に終わる。「今年、ソフトバンクが優勝を逃したら秋山さんの復帰もありえる。中畑さんは代表監督就任に意欲的といわれてましたが、ここにきて巨人監督の目が出てきた。また、6月に有力候補としてスポーツ紙に名前が出た栗山監督も、日本ハムとの契約がいつまでか不透明。結局、三者とも日の丸よりも球団監督の話のほうを優先したわけです」(前同)

 確かに、代表監督には想像以上のプレッシャーが伴う。「この重圧は、経験者にしか分からないんでしょうね。あの王さんも、あんなにしんどいものだとは思わなかったと、後になって振り返っていました」(ベテラン野球記者)

 ただ、やはり金銭面の問題が大きいという。「人気球団の監督ともなれば、億単位の金が入ってくる。候補に拳がるような人たちには、そんなオイシイ話が常に舞い込んでくるわけですが、それが4年間、来なくなってしまう。一方、代表監督のギャラは雀の涙。それでいて、負けたらマスコミや世間から国賊扱いでしょ。お金は二の次という人にしか務まりませんよ」(同)

 王、長嶋世代ならともかく、今の現役世代の監督たちには「それでも、あえて引き受ける」という人物は少なくなっているようだ。

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