「精進落とし」の流れやあいさつ、マナーを知ろうの画像
「精進落とし」の流れやあいさつ、マナーを知ろうの画像

 葬式や四十九日の後に行う食事会が、精進落とし。何となく出された料理をいただいて、手土産をもらって帰るだけだと思ったら大間違い! そこにはちゃんと意味やマナーが存在する。いつか精進落としに人を招く側になる前に、そのイロハを知っておこう。

■精進落としの意味と由来

 よく「精進(しょうじん)する」と言うが、精進という言葉の語源は仏教用語にある。日本では、俗世との関わりや欲望を絶って身を清めることを指す。その期間を終えて肉や酒の摂取を再開したり、精進が必要な仏教の法要や寺社巡礼、神事などを終えて、通常の生活に戻ることなどを指した言葉が、本来の「精進落とし」だ。長野県には“精進落としの湯”で知られる温泉地が残っており、参拝者らが善光寺の後に立ち寄っていたという。「お斎(おとき、おとぎ)」「精進明け」「精進上げ」「精進落ち」とも言う。

 かつて、親族が亡くなったときは肉や魚を絶ち、精進料理をとって四十九日の忌明けを区切りに、精進落しをして通常の食事に戻していた。

●精進料理ってどんなもの?

 魚介類や肉類を用いず、穀物、野菜などを主とする料理を「精進料理」という。仏教の教えでは、「不殺生戒」という教えに基づき、生物の殺生をよしとしない。五葷(ごくん)と呼ばれるネギ属の野菜(ネギ、ラッキョウ、ニンニク、タマネギ、ニラ)なども避けられるが、その扱いは時代や地域によって異なる。

■現代日本における精進落とし

 今の時代の精進落としとは、葬儀後の初七日法要や、故人が亡くなって49日目に行う四十九日の忌明けの法要の後に、お坊さんや参列者をねぎらうための食事会のこと。また、よく「親族一同がそろうのは冠婚葬祭のときばかり」と言われるように、遺族たちと故人との思い出を語り合ったり、互いに近況報告をしたりする場ともいえるだろう。ちなみに、納骨のときは特に行われない。

●精進落としはいつ、どこで行う?

 精進落としの席をもうけるのは、初七日の法事、四十九日や一周忌などの法事の後。最近は、葬儀の当日に初七日の法要を一緒に済ませることがほとんど。葬儀、火葬、初七日、精進落としの流れで行われる。宗派によっては、火葬している間に行われるケースもある。葬儀社としっかりスケジュールを確認して当日を迎えたい。

 近年の火葬場やセレモニーホールの一部には会食用の部屋が確保されており、そこに仕出し料理を頼んで精進落しすることが多い。お寺での法要の場合は、近くの飲食店を予約しておき、移動して行うこともある。

●通夜ぶるまいとはどう違う?

 お通夜の後にもうける宴席を、通夜ぶるまいという。精進落としと趣旨は同じだが、精進落としは参加者めいめいに一人前ずつお膳を用意するのに対し、通夜ぶるまいでは大皿料理を取り分けて食べる。

  1. 1
  2. 2
  3. 3