■NHK紅白歌合戦にも出場

――それでデビュー当時のキャッチフレーズが“やまびこ演歌”だったんですね。で、幼い頃に病弱だった少女も、歌手になってからは4回連続で『紅白歌合戦』に出場する売れっ子に。超多忙だったそうですが、以前、インタビューした際は、「それでも恋はしてた」とおっしゃっていましたね。

仁支川 恋ぐらいしなきゃやってられなかったの(笑)。

――ネット時代の今と違うとはいえ、昔は芸能人の密会がほとんど表に出なかった気がしますが……。

仁支川 私の場合はマネージャーはもちろん、母も知っていて、フォローしてくれたから、気づかれることもなかったんですよ。2人のことを理解して認めてくれて、ちゃんとデートとかもセッティングしてくれてね。そうじゃなかったら、今の人たちみたいにすぐに見つかっちゃったわよ。

――昔はマネージメントが公私にわたってキッチリされていたんですね(笑)。聞きにくいことを聞くついでにズバリうかがいますが、ちょっと前に話題になった芸能界の“マクラ”って、実際にはありました?

仁支川 私もプロデューサーに強要されたことがありましたよ。

――マジですか!?

仁支川 1人だけでしたけどね。「自分の女になったら主演やる」って。でも、「そういうのできません」ってキッパリ断りました。

――で、そのプロデューサーはなんと?

仁支川 「そうすると仕事がなくなるよ」って。で、私は「はい、結構です。仕事がなくなるとしたら、私はそういう存在でしかないってことでしょ」って。結局は、そこは出入り禁止になりましたけどね。

――おおー、カッコいい! 仁支川さんのそういう潔さが、後の映画『極道の妻たち』シリーズにも生かされている気がします。ちなみに仁支川さんは、20代後半以降は女優としての活躍が目覚ましいですが、目標の女優さんはいらっしゃったんですか。

仁支川 いませんね。私の世代だったら美空ひばりさんを挙げる方が多いと思うけど、ああはなれませんよ。歌はもちろん、劇では男役と女役の二役をこなすなど、女優としての表現力もすごかったですよね。

――参考にはされなかったんですか。

仁支川 参考とかじゃなくて、もう自然に見入ってましたね。あんまり入り込むと仁支川峰子の個性がなくなっちゃうんで、そこはマネはしないようにと。

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