■アマチュア側が抱えるジレンマも根深い

 さらに、「アマ側の抱えるジレンマも根深い」と、ガッツ氏は指摘する。「アマ側には、せっかく育てた人材をプロにかっさらわられてしまうという怒りがあるはず。結婚じゃないけど、結納金も払わず娘をかっさらわれちゃ、いい気はしないでしょ(笑)。だから、村田サイドもテレビ局と契約したりする前に、山根さんに筋を通す義理堅さがもう少しあったら、関係は違っていたかもしれないと思うよ」

 助成金の不正流用疑惑についても、ガッツ氏は「山根さんなりの親心もあったと思う」と言う。問題となっているのは、リオ五輪出場の成松大介選手(28)に対し、日本スポーツ振興センター(JSC)が2015年度に交付した助成金240万円が、山根氏の指示で別の2選手と80万円ずつに3等分されていたこと。

「3人の兄弟がいたら、3等分して食べろという思いやり。問題になって、自分の時計を売って160万円を成松に返したんだけど、別の2人に“80万円を返せ”と言ったり、連盟の金から補てんしろとは言っていない。そのへんも昔気質なんだよ。オレたちの時代だったら、3等分してくれって言われたら、“分かりました”って言ったと思うけど、現代っ子は違うんだろうね。元反社会組織関係者との交際にしたって、若い頃に仲良くしていた人が、そうなったっていう話だから悪気がない。彼は良くも悪くも正直な人なんだと思う」

 こう聞くと、ガッツ氏は山根氏を擁護しているようにも聞こえるが、問題発覚当初から、山根氏に一定の理解を示しつつも、「彼は責任を取るべきだ」と一貫して主張していた。「山根さんは、オレの電話帳の一番上に住所と名前が書いてあった。電話をかけると、ゴッドファーザーのテーマ曲が聞こえるっていうから、この間、かけてみたら“ただいま、お客様の都合により……”って、かからなかったな(笑)。彼にはどっかで会ってるし、話もしているんだろうけど、ほとんど記憶がないのよ。同じボクシングでも、こっちはアマじゃなくて、あくまでプロの世界だから、それほど関係がなかったはずだからね」

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