■「僕には監督をやる自信がありません」

 と、ここまで松井の監督就任をめぐる歴史を振り返ってきたが、ここで話を、ミスターと松井の“極秘会談”に戻そう。本誌がキャッチしたミスターと松井の“極秘会談”。そこではいったい、どんな内容が話されていたのか。

「ミスターは常々松井に“巨人の監督になれ”と言っていましたが、この日、改めて監督になるように、今までないほどの熱意を込めて頼んだんです。そして、松井を巨人の監督にすることが“オレの人生最後の仕事だ”と熱く語り、松井を説得したようです」(前出のプロ野球関係者)

 2人の極秘会談は1時間にも及んだそうだ。しかし、ミスターの“人生最後の仕事”という覚悟をもってしても、松井は監督就任に難色を示したという。

「監督就任を勧めるミスターに対して、松井は“僕には監督をやる自信がありません”と、返したそうなんです。松井がミスターに監督を引き受けない理由を口にしたのは、これが初めてだったようですね」(前同)

 ミスターは、この松井の言葉に大きなショックを受けたという。そして、温厚なミスターにしては珍しく、かなり強い口調で、松井を“叱責”したというのだ。《勝負事は丁か半か、その2つしかない!》《オレを見ろ! 監督就任1年目は最下位だ。それでも、その恥辱をはね返してきたんだ!》《それが勝負の世界で生きる勝負師なんだ!》

 そんなミスターの激しい憤りを間近で初めて感じたことで、松井の心境には変化が見られたのだという。

「ミスターの強い言葉に、松井も思うところがあったのか、頑なだった態度は次第に和らいでいったそうです。最終的には、終始、重い雰囲気だった松井が笑顔を見せるまでになったと聞きます。場の空気こそ和らぎましたが、ミスターの監督要請に、最後まで松井が首を縦に振ることはなかったといいます。ただ、松井が“笑顔”を見せたことを、ミスターはポジティブに捉えたようですよ」(同)

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