玉袋筋太郎と毒蝮三太夫
玉袋筋太郎と毒蝮三太夫

「汚ねぇ、ババアだな!」 ラジオから聞こえてくるおなじみの“愛のある毒舌”は健在。芸歴70年、82歳で第一線で活躍し続ける毒蝮三太夫さん。その毒蝮さんを「尊敬してやまない」と公言する玉袋筋太郎さん。玉さんが毎週金曜日にパーソナリティを務めるTBSラジオ『たまむすび』(午後1時~3時半)では、蝮さんの半世紀続く『毒蝮のミュージックプレゼント』が放送されており、共演中だ。今回、両者の対談が、ついに実現!!

毒蝮(以下、蝮)俺に「毒蝮三太夫」という芸名をつけたのは悪友の立川談志。談志は、それで俺を『笑点』の座布団運びにしたわけだけど、本人は1年後に参院選に出馬しちゃって、『笑点』を降板。残された俺は、「毒蝮」なんて芸名だけが残ちゃって、梯子を外されたようなもんよ(笑)。でも、「玉袋筋太郎」も同じようなもんじゃないの?

玉袋(以下、玉)俺も、師匠(ビートたけし)から、もらっちゃったんですよね。

蝮 俺と玉は似てるよ。こんな芸名でよくやって来たな。談志は言ってたよ、「シャレで言ったのに、よくその名前つけたな」って(笑)。

玉 ガハハハハッ!

蝮(名前を)つけたほうもつけたほうだけど、なるほうもなるほうだって(笑)。玉は来年、独り立ちするんだから、これから大変だよ。

玉 師匠は数ある中、なぜ、「まむしプロ」を立ち上げたんですか?

蝮 作ろうと思って作ったんじゃないんだよ。『笑点』の座布団運びだって『ウルトラマン』のアラシ隊員だって向こうから来たんだよ。「役者は、仕事が来るような魅力を持ってればいい」。これは俺の恩人で仲人の小林桂樹さんの言葉だ。

玉 うぁー。

蝮 俺、よく毒舌だっていわれるだろ。でも、毒舌の本家は俺じゃなくて小林さん。桂樹って名は「月桂樹を頭に戴くような人間になれ」と言われてつけられた。小林さんのお父さんは警察官。「僕は桂樹だけど、オヤジは刑事だ」って(笑)。

玉 ガハハハハハッ!

蝮 東宝の『社長シリーズ』では、社長役の繁さん(森繁久彌)という大スターがいる。三木のり平さん、フランキー堺さんなど、錚々たるメンバーで。

玉 最高ですよ!

蝮 でも、『社長シリーズ』の現場が持ったのは、(社長秘書役の)小林さんがいたから。主役の繁さんは多忙だ。映画は9時開始だったら、8時半には控室に入って支度して、9時には「ヨーイ、スタート」ってできる。でも、繁さんは9時に来るの。だからスタートは9時半になっちゃう。みんなを待たせてるわけだよ。で、繁さんが「桂ちゃん、悪いね。忙しくて」って。そしたら小林さん、「そうでしょうね。でも、そのうち暇になりますよ」だって(笑)。玉も、「あいつに、これをやらせたいな」と思わせるチャーミングなジジイになっていくことだよ。

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