■横綱・稀勢の里らを破って優勝

 横綱・白鵬鶴竜が初日から休場した九州場所。貴景勝は初日、稀勢の里(4連敗して途中休場)を破って、その後6連勝。7日目、関脇・御嶽海に敗れたものの、1敗をキープ。14日目、大関・高安に敗れて2敗となり千秋楽は高安、貴景勝の2敗同士の優勝決定戦になるかと思われた。しかし、結びの一番で、高安が御嶽海に敗れ、その瞬間、貴景勝の初優勝が決まった。

――優勝が決まった瞬間は、どこにいたんですか?

貴 自分の取組(錦木戦)は3番前に終わっていたので、支度部屋に戻って、優勝決定戦に向けて、心の準備をしていました。(支度部屋にある取組を映している)テレビモニターはあえて見なかったです。高安関は前日、自分が負けた相手。それも自分の詰めが甘くて敗れてしまったので、「昨日の反省を、生かさないと……」と考えていたんです。だから、優勝決定は付け人から知らされたんですよ。

――優勝を聞いたときは、どんな気持ちでした?

貴 10日目が過ぎたあたりから、周りの方々からいろいろ言っていただいて、「優勝」を意識するようにはなりました。ですが、「そんなにうまくはいかないだろう」というのが本心でした。それでも1敗のまま日々が過ぎていって、結果13勝、優勝。うれしい気持ちはあるんですが、まるで実感が湧かなかったですね(笑)。

――その後の優勝インタビューでは、堂々とした受け応えぶり。特に「父親と一緒にやってきたことが、少し結果になってよかった」というコメントは、父子での相撲に懸ける思いが伝わってきて、感動しました。

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