本人も歌手への憧れが強く、多くのオーディションを受けていた。そして、ついには『勝ち抜き歌謡天国』(NHK)で準優勝。それがきっかけで歌手デビューが決まる。

 恵まれたデビューだった。85年、第一弾シングル『水の星へ愛をこめて』が、アニメ『機動戦士Ζガンダム』(テレビ朝日系)のオープニング曲だったのだ。アニメのタイアップ効果もありオリコン最高位16位のヒットを記録。新人としては上出来な結果だった。

 だが、2曲目以降の売り上げはパッとしなかった。デビュー曲のヒットはあくまでガンダム人気のお陰。本人に多くのファンがついたわけではなかったのだ。同時期におニャン子クラブがデビューしたのも痛かった。当時、多くのアイドルがおニャン子ブームに吹き飛ばされてしまったのだ。

 それでも、彼女は挫けなかった。情報番組のレポーターを務めるチャンスを掴むと、そこで必死に自分をアピールした。すると、ノリの良さ、アドリブの面白さなどが評価を得るようになっていく。

 大ブレイクへの転機が、89年、高視聴率番組だった『ものまね王座決定戦』(フジテレビ系)での優勝だ。これで、知名度は大幅アップ。以後は、笑いの取れるアイドルとしてメディアの寵児となっていく。最盛期には、一週間すべての曜日にバラエティ番組のレギュラーを持っていた。

 また、バラドルとしての成功は、歌手活動にも大いにプラスとなった。91年には劇場版アニメ『機動戦士ガンダムF91』の主題歌「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜」がオリコントップ10入りのヒット。歌手としてもファンを増やし、『NHK紅白歌合戦』には、なんと6度も出場することになる。

 この時代は、後に一時代を築く超大物たちも、破竹の勢いで突き進む彼女の引き立て役でしかなかった。

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