ブレークの決め手となるのは、83年、自らも出演したコカコーラのCMだ。ハワイ(と思われる海外のどこか)で、5枚目のシングル『夏色のナンシー』が流れるなか、彼女が自転車で走り抜ける、ローラースケートで疾走する、水着姿で波と戯れる、プールサイドでタイプライターを打つ……。当時はまだ1ドル200円時代。そこから感じられたのは、多くの人が未体験であるアメリカの風、ハワイの太陽だった。そのキラキラした映像は、コカコーラ以上に早見優というアイドルの何よりのプロモーション映像となった。

「商品と彼女のイメージが見事にマッチ。そのいずれもが魅力的に演出されたCMでした。いまでもCMマニアの間では、傑作として評価されている作品です」(広告代理店関係者)

 CMは大量オンエアされ、その知名度は大幅にアップ。『夏色のナンシー』は大ヒットした。

 さわやかイメージは、その後もCM界に重宝された。また、歌手としてもヒット曲を連発し、『NHK紅白歌合戦』に3度出演している。

 また、彼女には同期の中森明菜(53)や小泉今日子(53)には決してないタイプのオファーが殺到した。そう、英語にまつわる仕事の数々だ。

『早見優のアメリカン・キッズ』(日本テレビ系)、『百万人の英語』(文化放送系)など、英語関連番組に数多く出演。英会話の本も多数出版し、英検のイメージキャラクターも長く務めた。彼女が英語教育そのもののアイコン的存在だった時期が確かにあった。

 本人は、パブリックイメージ通りに勤勉な人物のようで、堀越学園高校・芸能コース(現・トレイトコース)卒業後、大学進学を志した。そして、事実上浪人生活を経て、86年10月に上智大学比較文化学部(現・国際教養学部)に入学している。

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