■丸佳浩、炭谷銀仁朗ら、50億円大型補強

 昨季、1点差負けが24試合というリーグワーストの記録を作り、得点力不足が問題になった巨人にとって、やはり、“50億円”ともいわれる大型補強で獲得した広島の丸佳浩外野手(FA移籍)は最強兵器となる。「原監督は丸を2番に起用し、バントを使わず初回から2点目を取りにいく攻撃野球を目指していますが、“丸効果”は他にもあります」(同)

 2年連続MVPばかりが注目される丸だが、彼の本当のすごみは、17年から2年連続で最高出塁率のタイトルを獲得していることだという。「特に3-1、3-2のカウントからの四球が多い。原監督が“広島での野球を巨人に……”と彼を口説いたのも、この丸の粘っこさを買ったためです。丸は、どちらかといえば早打ちで淡白なバッティングが多かった巨人のバッターに、大きな影響を与えるはず。得点力は確実にアップするでしょう」(同)

 GM制を廃止し、補強の権限を自ら握った原監督がこだわった2つ目は、西武からFA宣言した炭谷銀仁朗捕手の獲得だった。元巨人軍監督の堀内恒夫氏は、親しい筋にこう漏らしているという。「捕手の競争が激しくなるばかりでなく、なんといっても、炭谷と坂本勇人・吉川尚輝の二遊間、それに中堅の丸を加え、センターラインがしっかりする。ペナントが始まれば、“炭谷効果”の大きさに気がつくと思うよ」

 その守りの面では、昨季のチーム防御率がリーグ1位ながら、リリーフ陣で20敗と弱点も露呈した。宮本和知投手総合コーチいわく、「エースの菅野(智之)が一人で投げ切っているから。菅野がいなかったらと思うと、ゾッとする」

 つまり、菅野が一人で防御率を良くしていて、他の投手は全員、菅野にオンブにダッコのシーズンだったというのだ。その菅野を筆頭に、今季の巨人先発陣は、山口俊、ヤングマン、今村信貴、田口麗斗、メルセデス、野上亮磨と分厚い。これに、メジャーから日本球界に復帰した岩隈久志が加わる。「ローテ争いは熾烈です。そのため、ローテから外れた投手を国際試合のように、“第2先発”として起用することも考えられます」(前出の巨人担当記者)

 V奪還への最大の弱点はリリーフ陣だ。「6月にマシソンが復帰するまでの辛抱。それまでは若手と新加入の守護神・クックに期待するしかない」(同) リリーフ陣の踏ん張り次第だが、球界の盟主としての輝きを取り戻すことができる戦力は整った。

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