■あおられる側があおる理由を与えていることも

 次に北島氏は、あおり運転を行うドライバーの心理状況についても解説する。「あおる側は、日常のストレスを、あおり行為で晴らしているとも言われます。何度かあおり行為が成功すると、ストレス発散にあおり運転、という習慣がついてしまう。あおり運転自体は、直に人を殴るわけではないし、いざとなれば逃げることもできますから、行うのに抵抗が少ないんです。また、あおる人は心理学の専門用語で“敵意帰属バイアス”といい、自分の身に降りかかったことを、故意にやられたと過度に思い込む傾向があることにも注意が必要です」

 冒頭の宮崎容疑者も、被害者の車が遅く、進路を妨害されたと感じ、怒りを募らせたと供述している。

 これに対し、実は、あおられる側が悪魔ドライバーにあおる理由を与えていることもある、と注意を呼びかけるのは道路交通評論家の鶴田光秋氏だ。「方向指示器を出さない急な割り込みや低速運転、急ブレーキを何度もかける、高速道路で追い越し車線をずっと走っているなどは、まさにあおる理由を与える運転と言えるでしょう。あおり運転を行う人も、何もしていない相手には、まず仕掛けません。なので、たとえ故意でなくても、あおる理由を与えないようにすることが重要です」

 運転初心者(ペーパードライバー)や、判断が遅くなりがちな高齢者ドライバーなどは、結果的に急な割り込みをしてしまうことが多くなるという。

 急ブレーキにしても同様だ。また、乗り慣れているドライバーでも、悪意なく急ブレーキを踏んでしまうことがあるため、常に安全運転を心掛ける必要がある。「特に、他車との相対的な速度差を、いかに感じ取れるかが大切です。一般道でのっそり運転しているのもそうですが、高速道路の追い越し車線で、本人は120キロで走っているから問題ないと思っていても、もっと速い車からは遅い、故意に妨害していると思われてしまうこともあるんです。要するに、流れを読んで、車線変更をするなど、常に周りの環境に目を配ることが重要なんです」(前出の北島氏)

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