■ユーミンの『COBALT HOUR』にいすゞベレット1600GTが

――横山さんの曲にも何度も登場するいすゞベレット1600GTには、特別な思い入れが?

横山「子どものときですね、ミッキー・カーチスさんが、レース活動のときはブライアン・カーチスって名前で、いすゞの契約ドライバーだったんです。プロの、本物のお金もらって。

 レーサーって子どものアイドルだったんすね。コマーシャルにも出ていて、僕の母親も大ファンだった。僕は小学生でしたけど、行くとレーサーに会える場所をリストアップして、今日は飯倉のキャンティに行ってみよう、ホテルオークラのカメリアってとこにいるぞ、とかって待ち伏せしたりして。

 生沢徹さんとか福澤幸雄さんとか、それぐらい人気あった。当時、サッカーより人気ありましたね。モータースポーツのほうがメジャーでした。ペレとか釜本以上に。

 そうそう、ベレG(ベレット1600GTの愛称)。ですね、ベレGといえば、應蘭芳さん! 僕は『OH! LANGFANG』っていう楽曲を、ちょうど20年前『gold fish bowl』ってアルバムに入れたんですけど、まあ、子どものとき、應蘭芳に憧れてたんです。『プレイガール』にも出てて。スカイダイビングはやる、スキューバダイビングもやる。それでレーサーだし。まさにハンサムなプレイガール。僕が子どものときは『マグマ大使』のモルって奥さん役で出ていた。そのモルが異常にセクシーで、ボディコンシャスなパッツンパッツンの衣装着てて……。子ども心にもちょっと儚く興奮しちゃった。男勝りで格好良いと思っていたその應蘭芳さんを思い出して、自分の妄想の中で、元町を黄色いベレットGTで走ってる、と歌ったんですね。そうしたら、應蘭芳さんご本人からファックスが来て“本当に黄色いベレG乗ってました”って書いてあったんです。“元町商店街とかよく、そのベレGで行ってました”って。びっくりしちゃって。

 それから、ユーミンさん!『COBALT HOUR』で、たぶん日本で初めてベレGを歌詞に入れて。ベレGは、あの頃のヒップな人たちが乗ってた車だったんです」

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