■車の中で曲を作って
――曲を作るのも車の中なんでしょうか?
横山「車で書くことが多いですね。ワンフレーズだったり、ベースラインだけ浮かんだり、ドラムこんなリズムでいこうっていうのは、スタジオ行く前に浮かんだりします。僕は本牧を当たり前のようにいつも走っててありがたみを忘れてたんですけど、ちょっと前にコンテナを乗せたトレーラーが横切ったとき、“あ、俺コンテナ好きだったな”ってことを思い出したんです。そうしたら、その日のうちにバーッと広がって、港湾周辺のいろんな思い出や感じてることがどんどん楽曲になって、片っ端から録音していったら18トラックのアルバム『PACIFIC』になった。もう勢い。勢い発進、急停車です」
――記憶が引き金になったということですね。
横山「60年代とか70年代の記憶のほうが、昨日何食べたかより鮮明です。子どものときは脳が新品ですから記憶力良いわけです。どうでもいいことまでずっと覚えている。車もそう。やっぱり、魂をわしづかみにされたんです」
――常にエレガントな物腰ながら、エネルギッシュな横山剣。爆走を続ける、そのエンジンを見習いたい!
よこやま・けん 1960年、横浜生まれ。81年、それまでスタッフとして関わってきたクールスRCのヴォーカル兼コンポーザーとしてデビュー。97年にクレイジーケンバンドを結成。堺正章、和田アキ子、SMAP、TOKIO、松崎しげる、小泉今日子&中井貴一、八代亜紀ら数多くのアーティストに楽曲を提供する “ 歌うメロディ・メイカー”。8月7日にニューアルバム『PACIFIC』をリリース。