■問診の重要性

 もっとも、不安がつきまとう項目があるとはいえ、自身のカラダをしっかり検査することが、長寿の近道であることに変わりはない。大事なのは、どんな検査を受けるか。つまり、「カラダによい検査」をしっかり押さえておけばよいのだ。受けるべき重要な検査――。それはまず、健診の検査項目でもある「問診」だ。前出の中原氏は、問診により、病が早期発見できた実体験があるという。「私は、2011年に中咽頭がんが見つかりました。ずっと違和感があって、知り合いの医者を受診。問診中に喉の周りを触診し、これはおかしいということで判明したんです」(中原氏)

 105歳まで生きた、聖路加国際病院名誉院長・日野原重明氏はかつて、「心臓の病気は、問診だけで6割分かる。聴診器も加われば7割分かる」と、口にしていたという。ただ、ここで注意したいのは、集団健診の際は、問診の時間が限られてしまうケースが多いということ。「だから健診以外で、個別に検査を受けに行ってもいい。個々のデータに基づいてきちんと問診し、過剰検査や投薬をしないような医者を、かかりつけ医にできればベストです。健康長寿を目指すうえで、これは適切かもしれませんね」(岡田氏)

 前出の中原氏も、問診の重要を説く。「体の不調を感じても、たいていは1週間もすれば治ります。ですから、不調が2週間以上続いたら必ず受診すること。これが健康のための、医師や病院との一番の良い関わり方です」

 他に受けるべき検査といえば、「脂質異常の検査」。これも、健診ではおなじみだろう。コレステロールは、動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や狭心症、脳卒中の原因となる。シニア世代ならば、特に気をつけなければいけない項目だ。この検査では、LDLコレステロール(悪玉)、HDLコレステロール(善玉)、中性脂肪などの数値が検出できる。

「中でも、LDLコレステロールが一番重要で、加えて中性脂肪の値も高ければ要注意です。ただし、単にLDLコレステロールの値が高いだけでも、心筋梗塞は起きません。喫煙、糖尿病、高血圧、ストレスといった要因も影響するのが普通です」(岡田氏)

 ちなみに、LDLが増えると動脈硬化の原因となる一方、HDLのほうは、逆に動脈硬化を防ぐ働きがある。仮に、トータルのコレステロール値が高めだったとしても、LDLが低く、HDLが高ければ、危険性は薄い。要は、両者のバランス次第なのだ。

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