■にぎり寿司やイベントなども!

 一方で、一般の刑務所では味わえない好待遇、楽しいひと時もあったという。まずは入浴。一般刑務所は週2~3回、時間も15分だが、大井では造船所の仕事で汚れやすいという事情もあるが、毎日入浴できたという。新人は忙しいのでゆっくり入れないが、自治委員以上ともなれば自分の家の風呂のようにゆっくり入れたという。

 また、こんなイベントも開かれていた。〈夏になると、大井浜清掃といい、近くの砂浜のゴミ拾いがある。その後に、まさかの海水浴が許される。その際、カキ氷も出る。もちろん、イチゴやメロンのシロップ付きである〉

〈ゴールデンウィークや盆休み、正月休みは、造船所も休暇になります。そういう長期休暇の時には、喫茶室が開かれます。教室の机をすべて使用していない部屋に運び出し、ソファーを並べ、テレビは娯楽室から移動、冷蔵庫を設置し、購入したお菓子を食べながら一日中くつろぐんです。ただし、それが出来るのは序列が上の人ですが〉

「私も出所が近づく頃には序列が上がり、より好待遇を受ける立場になりました。しかし、被害者やその家族、そして私の家族が、この様子を見たらどう思うだろうかと、私はいつもそんなことを考えていました」

 その他、年に2回、「集団散歩」という遠足があり、城跡公園や郷土資料館へ行ったこともある。「経理班が弁当を作り、バスで行くんですが、いい年のおっさんが皆、同じ色のジャージなんです。今思うと恥ずかしかったですね」

 その他、造船所の一般職員とのこんな交流も。〈職員がたくさん釣れたからと、アジを大量に差し入れてくれたこともありました。そのアジは、経理班が捌いてアジフライにしてメニューに加わった。ゴールデンウィークには、にぎり寿司の折り詰めを全員分、差し入れてくれた人もいた。刑務所でにぎり寿司や釣りたての魚なんて、あり得ない話である〉

 “塀のない刑務所”。そこには我々の知られざる天国と地獄があった。最後に、興味深いデータを一つ。全国の受刑者全体の再犯率は約45%。これに対し、大井は約2%に過ぎない。昨年の脱走事件以降、改革が求められる大井だが、受刑者の社会復帰に大きな期待が寄せられていることは、忘れてはならない。

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