■布団は危険なもの!

 死を招く段差の他、家の中には転倒につながる危険因子ばかり。カーペットやキッチンマットのわずかな捲れや、ベッドの脇に脱ぎ捨てたままの衣類、床を這う電気コードなども“凶器”になるという。中でも、盲点になっているのが布団だ。「夜間の転倒を含めると、実は、家の中の転倒事故の8割までが布団につまづくケースです。寝起きにフラリと立ち上がって布団でつまづいたり、夜間にトイレに行くときにつまづいたりと、布団は危険なものだということをまず認識すべきですね」(前出の大村院長)

 また、冬場には「浴室と脱衣場」「リビングとトイレ」の温度差からヒートショックを引き起こして血管に負担がかかり、心筋梗塞で突然死するケースも増えてくる。その浴室とトイレで言うと、「浴槽が深く、洗い場に出ようとして滑り、浴槽のフチで頭を強打した」(55歳男性)、「父が便座から立ち上がろうとして昏倒。しばらくして気づいたが、トイレのドアが内開きだったために担ぎ出そうにも、できなかった」(44歳男性)などの事例もある。

 寝室・浴室・トイレ……その危険にどう立ち向かうべきなのか。「わずかな段差でも転倒する恐れがあるので、まずは障害になるようなものを置かないこと。カーペットも、その一つ。部屋はフローリングにしておくのが原則です」(岡田氏)

 大村院長も、こう続ける。「先ほど話したように布団は危険なものですので、ベッド生活に改めること。足回りもすっきりするし、介助する人もやりやすい。寝心地なども良くなります。次いで、階段・風呂・トイレには手すりをつけることです」

 65歳以上の高齢者がいれば、介護の要不要にかかわらず、自治体の補助などで、20万円相当の手すり取りつけ工事が1割負担の2万円で可能になるケースもあるという。リフォームを取り扱う工務店社長が解説する。「階段やトイレの手すり工事は大人気です。次いで、浴室工事の依頼も多いですね。脱衣所と洗い場への段差解消や、深くて狭い和風風呂から浅くて広い浴槽に切り替える工事などです」

 まずはリフォームなど、できるところから少しずつ始める必要があるだろう。家庭の中で“不測の事態”が起きる可能性を減らし、できるだけ健康な日々を送りたいものだ。

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