■陸上短距離や競泳も

 短距離の世界でも、シューズ革命が起きつつある。リオ五輪4×100メートルリレーの銀メダリスト・桐生祥秀(24)が、昨年の世界陸上で、日本製の革新的スパイクをはいて走ったのだ。「通常のスパイクの底面には金属製ピンが配置されています。しかし、“ピンが地面に刺さる感覚”をマイナス要素だとする声もあった。そこで、アシックスが、ピンのないスパイクの開発に着手したんです」(陸上関係者)

 どのような構造なのか?「ファイバー素材などの複雑な突起のある靴底で、ピンがなくても高い推進力を確保します」(前同)

 桐生だけではなく、アメリカの著名選手が国際大会で着用し、優勝という結果も出している。「新国立競技場で、日本発のピンなしスパイクが世界に、その性能をアピールする可能性もあります」(同)

 陸上同様、0.01秒を争う競泳の世界では、スピードやアリーナ、ミズノなどのメーカーによる水着の開発競争が熾烈だ。「ドイツのメーカーで、日本ではデサントが独自に商品開発を行っているアリーナは、個人メドレーの金メダル候補・瀬戸大也(25)と協力して商品を作り出すなどもしています」(スポーツライター)

 競泳水着といえば過去に、縫い目がなく特殊素材が用いられたスピードの『レーザー・レーサー』が一世を風靡したことがあった。「『レーザー・レーサー』に代表される“高速水着時に行われた北京五輪では、23の世界記録が更新されました」(前同)

 その後、高速水着は禁止に。以来、自由形やバタフライでは、この時代の記録の更新は難しいとされた。「ところが、昨年の世界水泳で、男子200メートルバタフライでハンガリーのクリストフ・ミラーク(19)が、男子100メートルバタフライでアメリカのケーレブ・ドレッセル(23)が、高速水着時代のあのマイケル・フェルプスの記録を更新したんです」(同)

 技術や練習環境などの進化もあるだろうが、水着も、規定の範疇で高速水着に追いつきつつあるのだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4