■卓球用具は「バタフライ」
卓球用具は、東京・杉並区にあるタマスのブランド「バタフライ」が海外でも大きなシェアを占める。水谷隼(30)、張本智和(16)の他、中国、ドイツ、台湾などの世界ランク上位の選手が使用している。「先代が自分でラケットとラバーを作り出して、当時の海外トップ選手に、“当社の製品を使ってほしい”と売り込んだのが最初です」(タマス広報担当者)
そのテクノロジーは、今も進化を続けている。「リオ五輪から、この4年の間でもラバーの質は向上していますね。ラケットもラバーも自社で製作して販売しているという強みを持っています」(前同)
卓球女子日本代表の伊藤美誠(19)が使用しているラケットも、日本企業のニッタク製だ。「今や卓球界では、日本製の用具がスタンダードになっていると言っていいでしょう」(卓球関係者)
投てき競技の用具もメイドインジャパンが大活躍。「投てき競技は、選手は自前の用具を投げるシステムではありません。砲丸投げなら、大会運営側が用意した複数の砲丸の中から、その場で選んで投げるんです。そのため、選手たちは少しでも使いやすい、精密な用具を選ぶんです」(前出の業界紙記者)
そして、五輪など主要国際大会では毎回、選択肢の中に、東京の江東区に本社を置くニシ・スポーツ製の砲丸、円盤、ハンマー、やりが含まれている。「同社の調査では、リオ五輪の砲丸投げで男女とも金銀銅のメダリストが、男子ハンマー投げでも金、銀のメダリストが同社の商品を選んだとか」(前同)
一方、国際バレーボール連盟の公式球になっているのが、広島の化学メーカー、ミカサのボールだ。「ミカサは、斬新なボール表面のパネルデザインを施し、飛行曲線が安定化するという新商品を開発しました」(同)
ニシ・スポーツ、タマス、ミカサと、いずれも企業規模は決して大きくないが、「それでいて、優れた製品開発が世界で評価され、トップアスリートに選ばれているというのが、実に誇らしいですね」(同)
東京五輪では、選手だけではなく、スポーツ用品開発の“日本代表”たちの戦いにも注目したい。