乃木坂46「個人PVという実験場」
第4回 乃木坂46映像作品で湯浅弘章監督が描く「時のうつろい」1/4
■湯浅監督初の個人PV作品に見える特有のバランス感覚
乃木坂46の活動初期から、個人PVにはショートドラマ仕立ての作品がしばしば登場する。草創期より「芝居ができるグループ」を志向していた乃木坂46にとって、そうした作品はメンバーが継続的に演技を経験する場としての機能を有してきた。また同時にこれらのドラマ作品群は、乃木坂46が優れたドラマ作家を探り当てる機会でもあった。
乃木坂46の映像コンテンツという広大でフリーな土壌を巧みに活用しながら、印象的なドラマを次々に発表してきた映像作家の一人に、湯浅弘章がいる。逆光を効果的に用いた叙情的な湯浅の作風は、乃木坂46の基調の一端を確実に担ってきた。そして、乃木坂46における湯浅作品を捉えるとき、重要なテーマとして浮上するのが、「時のうつろい」の儚さと尊さである。